2012年公開の日本映画「のぼうの城」が1月5日にMBSで放送されました。この映画は、戦国時代の豊臣秀吉による小田原北条氏攻めの中で繰り広げられた北条方の支城「忍城」(おしじょう)の籠城戦をめぐるドラマを描いたもので、あらすじや概要はWikipediaなどをご参照ください。
ストーリーの中盤、忍城側の総大将「のぼう」こと成田長親(野村萬斎)が、城の本丸前に押し寄せた百姓たちの前で、成田一門の甲斐姫(榮倉奈々)の頬に泥を塗りつけるシーンがあります。
前後の経緯を簡単にまとめると、攻撃側の総大将石田三成が城の周囲に堤を築き水攻めの作戦を採ったため、忍城の城内まで水が迫り、のぼうを慕って籠城戦に参加し城の中に入っていた大勢の百姓たちも本丸にまで上がらなければならない状況になります。
しかし本丸の上がり口の前に押し寄せていた百姓たちはそこで躊躇し、甲斐姫らが「遠慮せずに上がれ」と叫んでいるにもかかわらず、入ろうとしません。その様子を見たのぼうは、城内の泥濘を逃げてきた百姓たちの足がドロドロで、それがために本丸の中に土足で上がるのをためらっていることに気づきます。
そこでのぼうは機転を利かせ、自らも上がり口から泥濘に降り立って足をよごし、さらに甲斐姫も引き寄せ、手に泥をとって甲斐姫の頬にぬりつけます。のぼうも同じようにやり返されますが、それらの様子を見て遠慮が無用であることを悟った百姓たちは大笑いして、のぼうと甲斐姫らに導かれてようやく本丸に上がっていくというものです。
付着的には僅かですが、よごれるという行為がストーリー上で鍵となる要素として描かれています。