Top > Specials > やまとさんインタビュー 2018年 (2018年5月6日掲載)

やまとさんインタビュー 2018年

最近「WAM生!」の配信でお馴染みの「Japan Messy Illustrator」のやまとさんに、2018年4月、インタビュー取材をお願いしてみました。

やまとさんとは「WAM生!」・「WAM夜話」をお手伝いしたり自主映画を共同制作をさせていただいたり、今までもコミュニケーションの機会は多かったのですが、こういった文字に残す形でのあらたまったお話はしたことがありませんでした。

少し前から、久々に文字メインのコンテンツを載せてみようと思っていたこともあり、今回インタビューをお願いした次第です。インタビューとは言うものの、一方的にお尋ねするというよりは、対談に近い部分も多々ありました。以前、サボテンマニアさんとの対談を掲載させていただいたことがありますが、結果的にはそれに近い形式です。

インタビューは、スカイプ通話により2018年4月末と5月初めの2回に分けて音声収録し、それを私(himajin)が文字に起こしました。多くの部分は音声に比較的忠実に起こしていますが、一つの話題がかなり長くなった場合など、起こした文字をある程度整理して再構成している部分もあります。それぞれの発言は、個人的な好みに基づく見方に過ぎず、他の方に対し、あるいはジャンル全体に対し、これが正しい・こうあるべきだ的な主張を意図するものでは全くありません。 万一そのように取れるところがありましたら、ご寛恕ください。以下、3ページに分けて掲載させていただきます。

全体の目次

1ページ目

2ページ目

3ページ目

対談開始

「h:」(黒文字)がhimajinの発言、「Y:」(青文字)がやまとさんの発言です。( )は文字にする際に補った言葉です。 それ以外に、文脈の補足や固有名詞についての説明など、発言の末尾に適宜注釈を付けている箇所があります。

起こしたものを読み返し、内容を考慮しつつある程度の量でブロック分けして、各ブロックにタイトルをつけました。

文字ばかりだと地味かなと思い、やまとさんから画像をご提供いただき、ところどころに挿入させていただきました。ありがとうございました。特に脈絡なくその画像を配置した部分が多く、文章部分とは必ずしも関係していません。

いちばん最初の検索ワードは「飴食い」だった

h:今日はよろしくお願いします。

Y:よろしくお願いします。

h:(インタビューは)むかしちょっとサボテンマニアさんとやったことがあって、6年ぶり、7年ぶりくらいなんですけど、久々に文字コンテンツやってみようかなと。読んでくれる人がいるかどうかわからないですけど(笑)

Y:そうですよね。文字だもんね(笑)

h:今スマホ時代なので、長い文章は読みにくい。

Y:まあ、(こういうインタビューを読んで)さして良い情報が手に入るわけでもないしね。

h:そう。画像があるわけでなく。

Y:耳寄りな情報があるわけでなく。

h:そうなんですけど、出していい写真とかあれば、記事に挿入したいので、お願いします。サボテンさんのときもお願いしたいんですけど、それで見栄え良くしようかなと(笑)

Y:まあ、Ayameさんかな。

h:聞きたいことはいくつかあるんですけど、さんざん自主映画*作ったときとかに話した気はするんですが、覚えてないことやメモしていないことも多いので、改めて。(*注釈 … 2017年に自主映画「ルームメイト」を作りました。)

Y:そうですね。

h:定番の質問かもしれませんが、ネットを見始めた前後の思い出話みたいなの、ないですか。

Y:定番じゃないですか。最初はアナログ回線で…。

h:そういう世代ですか、まだ?

Y:(モデム*の)ポーピッピッピッピッっていう…。 (*注釈 … 光やADSLなどの常時接続回線が普及する前は、アナログの固定電話回線によるインターネット接続のためにモデムという装置が必要でした)

h:それ知ってる世代ですか?

Y:知ってる知ってる。だって、Windows98で最初やってたから。いくつくらいのときかな…。あれ中学生くらいのときかな。

h:ほんとはまだ見ていけないくらいのとき(笑)

Y:そうですね。まあ世の中そんなもんですよ。

h:ですね。画像1枚読み込むのにめっちゃ時間かかるみたいな…。

Y:今のカットね(笑)

h:ああ、中学生のところ。全然問題ないと思いますけど。若い頃という感じで。

Y:ええ。

h:最初見たホームページ覚えてます?

Y:あそこです。「パイ投げ倶楽部」*
(*注釈 … 当時、テレビ番組のパイ投げシーンを集めて紹介しておられたサイトです)

h:ああ、やっぱり。

Y:だって、最初の検索で、「Wet and Messy」なんか知らんじゃないですか。

h:じゃあ最初の検索ワードは「パイ投げ」?

Y:いや、「飴食い」。

h:へー、意外ですね。

Y:(当時は)パイ投げ画像がネットにあるとは、思わないわけですよ。当時は、日記サイト全盛期、個人サイトが隆盛を極めた時代で、そういうのしか知らなかったので。

h:まさかこういうジャンルの世界やサイトがあるのは知らなかった?

Y:知らなかったし、(自分の中では)たとえばテレビの画像をアップするとか、そういう発想もない時代。(当時の個人サイトだと)載ってる写真は自分が撮った写真。そういう写真ばっかり見ていたから、当時何を思ったかと言うと、運動会の飴食いは当事者が撮るじゃないですか。

h:たしかに。

Y:(当時、一般の人の日常の写真で)パイ投げはないじゃないですか。

h:当時はないですね。今はよくありますけど。

Y:だから、飴食いだったんですよ、スタートは。

h:へー、それはちょっと面白いですね。それについて、私の場合と違うのは、私の場合、インターネットが出始めた頃に、インターネットの世界を紹介する本がいろいろ出てて、それを見て。インターネットにはこういう変わったサイトがたくさんある、みたいな紹介の中に下関マグロさん*1が記事を書いてて、そこにメッシーだとかWAMだとか、海外サイトがいくつか紹介されてて。そういう世界があるんだ、というのはその本で初めて知った感じですね。それ見て、絶対インターネット始めよう*2と思った感じですね。そこはちょっとやまとさんと違うかなと。
(*注釈1 … 「パイ投げ倶楽部」の管理人さんで、フリーライターとして当時各所にWAMネタの記事を書いておられました)
(*注釈2 … 当時はパソコンでもインターネット接続機能は標準装備されていなかったので、「インターネットを始める」という感覚でした。)

Y:ネットを始めたときは、まだ若いときでそういう本を読む習慣はなくて。

h:立ち読みとかしなかったですか。

Y:しないしない。

h:そうですか。私はパソコンの本とかわりと好きだったんで、そういう本を見ましたね。

Y:パソコンは別に好きじゃなかったもん。

h:それはちょっと違うところかもしれないですね。

Y:パソコンは全然詳しくなくて、友達がインターネット見始めて、これ見てみろよ、みたいな感じで個人の日記サイトを見るようになったという時代なんで。何かの雑誌から情報が入ったというわけではないんですよ。

h:じゃあ「パイ投げ倶楽部」に出くわしたときはちょっとビックリという感じ…?

Y:ビックリしたねー。超ビックラこいたね。

h:いいですね。その感動って、人生に一度しかないですからね。

Y:当時「パイ投げ倶楽部」にたどり着くまでに、ちょっと時間がかかったと思いますよ。

h:まっさきに検索が「飴食い」だと、すぐには行かないですかね。「パイ投げ」と入れるとすぐにたどり着けたと思います。

Y:当時はGoogleじゃなかったですからね。

h:よく使ってたのはinfoseek…(笑)。

Y:なんだか覚えてないですけど。検索エンジンは何がいい、みたいな知識はなかったです。

h:あとはYahoo!とかね。

Y:だからスタートは、「飴食い」を検索して、運動会とかの飴食い画像を探してたっていうのが最初です。なんやかんやしているうちに、「パイ投げ」で検索したんですかね、パイ投げ倶楽部にたどり着き。

h:なるほど。

いずれもやまとさん撮影のAyameさんの写真作品「White to Black」より。

最初のWAMとの出会い

Y:正直、「パイ投げ倶楽部」で「WAM」という世界を知ったという感動はなくて。もちろん、パイ投げをたくさん扱ってるサイトがある、やったー!という感覚はありましたよ。でも、WAMというジャンルに巡り合ったという感動はなかった。それを味わったのは、パイ投げ倶楽部のリンクから飛んだ、「並木みきおのメッシー研究室」*です。(*注釈 … 1998年開設、その後メッシービデオを撮り始めることになる並木みきおさんのサイトです。)

h:そこが入り口ですか。

Y:そこが入り口。

h:たしかに、違いとしては、テレビの世界の紹介と、ガッツリこちら向けに作ったオリジナルコンテンツを載せてるサイトという点で、ちょっと違っているかもしれないですね。

Y:で、パイ投げ倶楽部は、「パイ」だったんですよね。まあ当然だけど。並木さんは絵の具とかだったんですよ。当時、「並木みきおのメッシー研究室」はビデオはなくて、並木さんがショートショート書いてた頃。

h:え?結構最初の頃から画像とかあったイメージなんですけど。

Y:画像の前の時代。いちばん最初にあそこのサイトであがった画像は、風俗に行ってそういうことやってみました、という写真が1枚だけ載ったことがあって。最初に見たとき、それは載ってたかな…いや載ってなかったかな。それが載ったのを見て、ガッツリ、WAMというのを知ったという感じです。

h:じゃあ、画像無しでこの世界に入ってきているわけですね。

Y:当時、画像が上がっているWAMサイトは、見てなかった。あったのかもしれないけど。

h:HPS ARTさん*とかが載せてたかな…?記憶の自信はないですけど。(*注釈 … 日本の最初期のメッシービデオ「Messy Art Japan」を制作・販売していたサイト)

Y:画像はほんとなかった。

h:(海外の)Messy Fun*とかには上がってましたよ。(*注釈 … アメリカのメッシーサイト。1990年代初期から全身コーティング系の作品を制作していました。)

Y:Messy Funなんか知らなかった。

h:そこがちょっと(自分の場合と)違うところで、(先述の)その本には載ってたんですよ。

Y:海外サイトなんて、怖くて。

h:でも、インターネットの感動の一つはそこでしたけどね。海外の情報がこんなにダイレクトに入ってくるんだ、みたいな。

Y:サイトに最初に出てくる、Under 18はダメみたいな英語メッセージだけで、怖かったです。

h:純な少年的には未知な世界という気持ち(笑)。

Y:いきなりダイヤルQ2にかけられて請求が届くっていう時代ですからね。

h:未知のテクノロジーだから何があるかわからないという(笑)。

Y:親にばれるんじゃないか、とかね。パソコンも共有だし。

h:まだ一家に一台の時代ですからね。

Y:で、「並木みきおのメッシー研究室」をスタートにして、サイトを辿っていった、というのが最初です。ぎんぎつねさんとか。当時何があったかな…。

h:牙行さんとかもありましたね。

Y:あった。なんせ、数はなかったと思うので…。だから、ショートショートとか、イラストサイトが多かったですよ、当時は。そういうのを見たあと、ビデオが存在しているというのを知ったのが、HPS ARTかな…。当時は、HPS ARTという名前は認識してないと思います。

h:要は、ビデオ名のほうで認識していた。

Y:そうそう。「Wet and Messy Art Japan」のほうで認識していた。

h:最初に買ったのって何ですか?

Y:えーとね、18歳。

h:いやー、あの、タイトル(笑)。

Y:えーと、「メッシーアイランドvol.6」*(*注釈 … 並木みきおさんの「マノンプロダクション」の作品)

h:覚えてるって、すごいですね。

Y:たぶんvol.6かな。

「WAM生!」より。

当時僕の部屋にあったいちばんエッチなマンガは『Boys Be』だった

h:今一通り聞いてて思ったのは、インターネットを始めた年代が近くても、見えてる景色はだいぶ違うんだな、と思って。もちろん、素材の嗜好の違いとかは前提にあるんでしょうけど、それ以外の、海外サイトへの印象とか、違いがあるんだな、と。怖さは全然なかったので。

Y:(当時の自分的には)無理無理。

h:私の場合は、いちばん最初に起こしたアクションは、「パイ投げ」で検索して「パイ投げ倶楽部」が出てきて、すぐにメールを書きましたね(笑)。自分もテレビシーン集めてます、というメールを書いたのが、たぶん最初のアクションだった気がします。

Y:メールなんか、とてもとても。(自分の中には)メールを打つ文化はなかった。

h:じゃあビデオはどうやって買ったんですか?実店舗?

Y:そう。俺の通ってた予備校の近くに、そういうのを売ってる店が一店舗あったんですよ。

h:たしか出身は…。

Y:熊本県で、そういうのを売ってる店が一店舗なのか二店舗なのか、あったんですよ。その店が俺の行動圏内だと。行くしかないよね、と。夜に行ったんですよ。初めてアダルトビデオショップに呼ばれる場所に。初日は、何も買わずに帰ってきました。

h:やっぱりちょっと怖い。

Y:怖い。

h:でもめちゃくちゃ買いたいわけでしょ?

Y:次の日だか2日後だか忘れましたが、またすぐに行ったんですよ。そのときに買ったのが、「メッシーアイランドvol.6」。

h:それを初めて見たときの衝撃は?

Y:覚えてない。

h:意外に。

Y:一個も覚えてない。

h:めっちゃ衝撃のはずじゃないですか。

Y:買った瞬間とかは覚えてるんですけど、見た瞬間は覚えてない。どうやって見たのかも覚えてない。ビデオデッキのある部屋に行って見たんでしょうけど、具体的な記憶がない。ビデオの内容は逐一覚えてますが、見てた自分のシチュエーションについては覚えてない。

h:そんなものかもしれないですね。

Y:当時は実家だし、なかなか買えない。(場所をとって)邪魔だし。

h:当時はVHSですからね。頭出しに時間がかかるみたいな。

Y:最初に見たビデオの衝撃とか覚えてます?

h:聞き返されると、正直、やっぱり覚えてない…。たぶん、ある時点までは覚えてたと思うんですけど、悲しいことにそこそこ時間経っちゃってるんで。

Y:当時、買ったのが2000年くらいかな…。

h:インターネットを見始めてから2年経ってますが、よく我慢できましたね。

Y:いや、(買いたくても)無理ですよ。だって、自分が持ってるものの中でいちばんセクシーなマンガは、『BOYS BE…』*でしたからね。 (*注釈 … 当時、週刊少年マガジンに連載されていたラブコメ漫画。Wikipedia参照)

h:時代ですね(笑)。

Y:あれがいちばんエッチなマンガでしたから。

h:全然エッチじゃないですけどね(笑)。そういう環境にビデオがドカンと入ってくるのは、たしかにハードルが…。

Y:まあ、メッシーなんて遠い世界の話でしたからね。

h:今みたいな感じではない。

Y:だから、画面の中の世界。当時は別世界。

h:当時は、将来的に、自分がそういうのを撮ったり作ったりするかも、的な想像図は…。

Y:ないない。あるわけない。

h:まあそうですよね…。

Y:だから、サイト見て最初からメールするなんて、(自分的には)ありえなかった。サイト見て管理人にメールを投げるという行為は、テレビで芸能人を見てファンレターを送るのと一緒だった。

h:全然、違いますけどね(笑)。こちらの感覚では。マグロさんとかにメールしましたよ。

Y:(管理人から)返信が来ると思ってないもん。

h:面白いです、やっぱり、見えていた世界がちょっと違いますね。

Y:違う違う。社会もわからないから。まったく想像もつかない世界。自分がやることもできない。パソコンに広がっているのは、謎の世界。

h:要は、誰がどういうふうにやっているのかわからない世界?

Y:誰がどうやってどういう仕組みでやっているのか全然わからない。だって、知らないですからね、「html」とか、「サーバー」とか。インターネットは、すごい狭いけど、すごい遠い世界だった。

ビデオを買うのを躊躇していた少年が後に撮ることになるビデオからのひとこま。

チャットでえるさんが来てくれたのは、ライブでアイドルが手を振ってくれたのと同じ

h:じゃあメールや掲示板で他の人とコミュニケーションをとったのは、ネットを見始めてからだいぶ後?

Y:だいぶ後。それもいちばん最初は覚えてる。

h:どこですか?

Y:「えるの部屋」*(*注釈 … 2000年代に開設されていた、女性の実践派の方によるサイト。実践画像やチャットルームがありました。)

h:あー。懐かしいですね。

Y:「えるの部屋」のグループチャット、あれが最初です。

h:ありました。

Y:当時はチャットと掲示板が多かったじゃないですか。チャットって、どこのサイトにも結構あって。当時いちばん活発だったのが「えるの部屋」だった気がする。

h:そうですね、2000年代前半は。

Y:「えるの部屋」に行って、内容も覚えてる。えるさんと、えるさんの知り合いの夫婦でメッシープレイされてる方と、もう一人くらい誰かいて、計5人くらいでやってました。こちらは初めて人にこういうのが好きだと喋るわけじゃないですか。「皆さんどういのが好きなんですか、僕はこういのが好きなんです」、みたいな。

h:それが最初のコミュニケーション(笑)。何年とか覚えてますか?

Y:たぶん、2001年か2002年か…。

h:それくらいの時期から、だいぶ交流のハードルが下がった感じですか?

Y:いえ、全然。交流なんて…。だって、チャットもそれっきりですよ。

h:あ、ずっと参加してたわけじゃないんですね。

Y:全然、全然。だって、遠い世界の話ですから。自分と人生の交わらない人たちとの会話じゃないですか。だから、(画面の向こうの人は)芸能人なんですよ、感覚として。だから、チャットでえるさんが来てくれたのは、ライブに行ったらアイドルが手を振ってくれた、というのと同じですよ。

h:あー、なるほどね。かなり面白いですね、その感覚の違いは。私は、別にそんなに裏側の仕組みとか知ってたわけじゃないですけど、こちらが思っていた印象としては、そういうのが好きな人たちがサイトとかをやってて、自分よりちょっと上の世代の方がやってるのかもしれないけど、わりと趣味でやってる人が多くて…みたいな印象だったんで、そんなにメールのハードルも高くなくて。

Y:そこは、たぶん、俺とhimajinさんの微妙な年齢の差がクリティカルにヒットする時代なんですよ。

h:なんとなく、普通の人たちがやっているんだろうなという感覚があったんで、最初にサボテンマニアさんにメールしたときも気軽な感じでしたし、返信いただいたらやっぱり自分と同じような学生で、ああやっぱり同じような人たちがやってるんだなというのは思いましたね。

Y:当時どんな人たちがやっているのかは想像がつかなかったですが、10代からすれば、20歳を超えた人は話せる相手じゃないわけですよ。

h:あーわかります。そういうのって、ある年齢に達してしまえば違う世界がばっと広がるんですけど、世界がもっと狭い年齢ってありますよね。たしかに、そういう状況では、数年差、1、2年差が景色の違いを大きくしたかもしれないですね。

Y:(自分から見えていた景色では)交流できる人たちじゃないんですよ。

h:サボテンマニアさんとの対談でも話しましたけど、同じ環境、同じ世代の人がそういうことをしているというのは、(あとでサイトを作るときの)大きい原動力になりました。

Y:それはなかった。同じ世代じゃないですもん。

h:同世代ですよ。

Y:今はね。

h:当時的には、要は、(たとえるなら)高校で1、2年の差は大きいみたいな。

Y:そう、中3と高1の差が大きいのと一緒ですよ(笑)。ましてやその上なんて、みたいな。

h:個人差があるとはいえ、そういう年齢による違いで見える景色が違っていた、というのはあるかもしれませんね。

Y:ケータイも持ってない時代のその差ですからね。

やまとさんの2作目のビデオ作品「顔汚し」より。

「サイト管理人」がまだ一種のステータスだった頃

h:じゃあ同好の人と常時どっぷり交流するようになったのはずっと後からですね。

Y:常時交流するようになったのは、2011年からです。

h:そこまで行っちゃいますか。

Y:はい。それまでずっと見てただけ。

h:最初にイラストですよね。それを最初に載せるきっかけみたいなのは…。

Y:自分がイラストをあげるようになる頃には、(ネットに関して)技術的な問題が解決されてた。

h:技術的というのは…?

Y:インターネットを知って、htmlの仕組みを知って、mixiとかいろんなSNSができてて、世の中にプラットフォームができてる時代じゃないですか。だから、ものを作って載せるというのが普通にできる時代。

h:要は、他の人もやってて、そういうのが当たり前になってる時代ということですね。

Y:そうそう。載せようと思えば誰でも載せれる時代だったので。敷居が下がりまくって。だから、最初は、絵を描くようになりました、と。絵を描き始めたきっかけは、ある日突然なので。今日から絵を描きますと決意して描き始めたので。

h:すごいですね(笑)

Y:それは会社の同僚とかとの話があって。趣味を作りたいという話から、だったら絵でも描いたらどう、みたいな。

h:もともと絵は好きなんですよね。

Y:小学生の頃にノートにマンガを書いてた程度ですね。

h:なかなか珍しいですね。そこから急に趣味を作るという経緯で絵を本格的に始めるなんて。それで描き始めて、載せ始めた。その頃には充分(ネット環境的な)載せる敷居が下がっていたということですね。

Y:そうそう。絵を趣味にすることが決まりました。で、絵を描いたら、当然、エッチな絵をかくじゃん。そしたら、載せるじゃん。セットですよ。

h:今はTwitterとかに載せる方たくさんいらっしゃいますけど、それと同じですね。

Y:いっしょ、いっしょ。

h:今はより載せやすい環境ができているということですね。

Y:そうです。絵を始めます、描きました、載せました、が最初です。

h:サイトを始めたことで大きく変わったことってないですか?

Y:サイトを始めたことによって変わったのは、他の人との交流ができるようになったこと。

h:なぜですか?

Y:えーとね…。「サイト管理人」というステータスがまだ一定の影響力を持っていた時代。

h:ありましたね。

Y:それが自分に付いたことによって、他のサイト管理人の人たちと話ができるようになった。

h:へーえ。なるほどね。「サイト管理人」というステータスを大きく見ているほうですね。そのへんも人それぞれですけど…。自分がサイトやってることによって、今だと死語に近いですけど「相互リンク」だとか、そのためにメールしたり…。

Y:サイトを持ったことによって、WAMの世界の輪の中に入るという感覚が生まれたんですよ。

h:それはちょっとわかる気はしますね。今はSNSでアカウント作るほうが早いんで、サイトを作るのは全然効率の良い手段ではなくなっているんですけど。

Y:今はサイトって要らないですからね。

h:正直、SNSでやったほうがよっぽど反応早いので。でも2010年前後だとまだ、サイトならではのメリットはありましたね。

Y:「サイト」に一種のステータスがあった時代(笑)。「あ、サイトやってるんですね?」みたいな。

h:サイトを持っているというのが、mixiにアカウント持ってます、というのとは違う意味合いがあった時代ですね。

Y:そうそう。

h:今はどっちが主かわからない時代ですからね、Twitterのアカウント1個あれば何でも発信できるので。

Y:逆に、サイト持ってるからといって、だからどうした、という話だったりしますし。

h:見てくれなかったりしますし(笑)。でも、そういう時代の最後にサイトを開けたというのは、ある意味、ラッキーじゃないですかね。

Y:ラッキーですね。あと2、3年遅かったら、今のようにはなってなかったかもしれないですね。

やまとさんのイラスト作品。

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