Top > Works > デジカメ・ビデオカメラの4K動画時の焦点距離をまとめてみる (2016年1月13日Twitterから先行掲載、2018年4月10日更新)

デジカメ・ビデオカメラの4K動画時の焦点距離をまとめてみる

2014年以来、4K動画機能(記録画素数3840x2160の動画機能)のある民生用ビデオカメラやデジカメが徐々に増えてきました。特に最近はデジカメの動画機能の向上で、むしろデジカメのほうが活発に対応機種がリリースされているような印象があります。

そのような中で、デジカメの場合は、写真モード時と比較して4K動画モード時に広角端が狭くなる仕様の機種が多いようです。それに加えて、メーカー発表の仕様一覧やカタログに写真モード時の焦点距離の記載しかなく、動画モード時の焦点距離が明記されていない場合があります。

たとえば、パナソニックGH4という機種で、レンズの焦点距離設定と被写体との距離を同一のまま、写真モードと4K動画モードを切り替えると、写る範囲の違いは以下のイメージ図のようになります。しかしこのことはカタログにも仕様一覧にも明記されていません。

広角側の狭さは、特にスペースに制約のある室内撮影でネックになってくる場合があります。機種によっては、4K動画時の画角の狭まり方は上記のイメージ図以上になります。

フルHD動画ではこういった問題はあまり目立たなかったのですが、4K動画の機種では要注意となっています。

というわけで、4K動画対応のデジカメとビデオカメラの焦点距離を一覧表でまとめてみました。ページ末尾には、それ以外の機能についてもごく簡単にまとめています。

一覧表

このページの最終更新日時点で、4K動画機能に対応した国内主要メーカーのデジカメ(レンズ一体型・交換型)と家庭用ビデオカメラの主要スペックをまとめた一覧表です。焦点距離はすべて35mm判換算です。「4K動画時の実質センサーサイズ」は仕様に明示されている情報ではなく、手がかりとなるスペックを元に算出したものなので、実際の値と若干の前後があると思います。4K対応機の増加に伴い、全部の機種は網羅できていません。

電子式手ぶれ補正機能の搭載機種では、同機能を有効にすると画角が少し狭くなる場合がありますが、原則としてオフの場合の焦点距離(そのカメラでもっとも4K動画の画角が広くなる設定での焦点距離)で掲載しています。

UHD(3840x2160)とDCI 4K(4096x2160)の両方に対応した機種については、原則としてUHDの値のみ掲載しました。DCI 4Kのみ対応の機種は、その旨注記しています。

使用領域模式図はオレンジがセンサー全域、水色が4K動画時の使用領域を示しています。センサーの大きさ・使用領域が共通するものは別機種でも同一画像を使っている場合がありますが、それらが共通でも画素数・センサーの世代・AFの方式などは全然別物の場合もあり、両機種でセンサーの性能が同一ということは意味しません。

マルチアスペクト機能対応の機種では、16:9または17:9の写真モード時のセンサーサイズとそれに対する4K動画時の使用領域を掲載しています(マルチアスペクト機能については、後述の説明をご参照ください)。

機種名からメーカー掲載の仕様表にリンクしていますが、国内サイトに各モードでの焦点距離を明記していない場合があるため、一部海外版の仕様表にリンクしています。

コンパクトデジカメ(レンズ一体型デジカメ)

機種名メーカー写真時の焦点距離4K動画時の焦点距離F値センサーサイズ4K動画時の実質センサーサイズ写真時の有効画素数4K動画時の有効画素数使用領域模式図
RX10M2ソニー24-200mm28-233mm全域F2.81型0.87型5472x3648
(1996万)
5024x2824
(1419万)
RX10M3
RX10M4
ソニー24-600mm28-680mmF2.4-4.01型0.87型5472x3648
(1996万)
5024x2824
(1419万)
RX100M4
RX100M5
ソニー24-70mm28-80mmF1.8-2.81型0.87型5472x3648
(1996万)
5024x2824
(1419万)
FZ1000パナソニック25-400mm37-592mmF2.8-4.01型0.67型5472x3648
(1996万)
3840x2160
(829万)
FZH1パナソニック24-480mm36-720mmF2.8-4.51型0.67型5472x3648
(1996万)
3840x2160
(829万)
LX9パナソニック24-72mm36-108mmF1.4-2.81型0.67型5472x3648
(1996万)
3840x2160
(829万)
LX100パナソニック24-75mm26-81mmF1.7-2.81.21型
*1
1.12型?4480x2520
(1129万)
4128x2322?
(959万?)*2
FZ300パナソニック25-600mm27-648mm全域F2.81/2.3型1/2.5型?4000x3000
(1200万)
4000x2250?
(900万?)*2
TX1
(TZ100)
パナソニック25-250mm37-370mmF2.8-5.91型0.67型5472x3648
(1996万)
3840x2160
(829万)
TZ85
(TZ80)
パナソニック24-720mm33-990mmF3.3-6.41/2.3型1/3.2型4896x3672
(1798万)
3840x2160
(829万)
A900ニコン24-840mm??-??mmF3.4-6.91/2.3型??型2030万画素??
B700ニコン24-1440mm??-??mmF3.3-6.51/2.3型??型2030万画素??

*1 LX100はマルチアスペクト機能対応、1.21型は16:9モードのときのサイズ。センサー全域は仕様表より1.35型。
*2 仕様表記載の写真時の使用画素数・焦点距離と4K動画時の焦点距離から、4K動画時の有効画素数を算出・推定。

デジタル一眼(レンズ交換式デジカメ)

デジタル一眼(レンズ交換型)の焦点距離はレンズ次第ですので、下記の表ではクロップ倍率と、標準ズームレンズで代表的な換算24mmスタートと換算28mmスタートのレンズを付けたときの4K動画時の広角端を参考掲載しています。

この表でのクロップ倍率(クロップファクター)とは、写真モード時の焦点距離に対する4K動画モード時の焦点距離の倍率です。たとえばクロップファクターが1.5倍であれば、換算24mmのレンズを付けると、4K動画時には換算36mmになります。

クロップ倍率が1倍に近いほど写真時と4K動画時の画角の違いが少なく、倍率が大きくなるほど画角の違いも大きくなります。下記の表のクロップ倍率はメーカーが公開している情報に基づき算出しました。

機種名メーカークロップ倍率24mmレンズ
での4K動画時
28mmレンズ
での4K動画時
センサーサイズ4K動画時の
実質センサーサイズ
写真時の
有効画素数
4K動画時の
有効画素数
使用領域
α7S IIソニー1.05倍25mm29mm2.7型2.55型4240x2832
(1201万)
4240x2834
(1011万)
α7R II
α7R III
α99 II
(フルモード)
ソニー1.05倍25mm29mm2.7型2.58型7952x5304
(4218万)
7952x4472→
4画素加算→
3976x2236?
(889万?)
α7R II
α7R III
α99 II
(クロップモード)
ソニー1.61倍39mm45mm2.7型1.67型7952x5304
(4218万)
α7R II
5168x2912
(1505万)
α7R III、α99
5176x2924
(1513万)
α9
α7 III
(24P記録時)
ソニー1.05倍25mm29mm2.7型2.56型6000x4000
(2400万)
6000x3376
(2026万)
α9
α7 III
(30P記録時*1)
ソニー1.31倍?31mm?37mm?2.7型2.04型?6000x4000
(2400万)
4800x2700?
(1296万?)
α6300
α6500
(24P記録時)
ソニー1.05倍25mm29mm1.76型1.68型6000x4000
(2400万)
6000x3376
(2026万)
α6300
α6500
(30P記録時*1)
ソニー1.31倍?31mm?37mm?1.76型1.35型?6000x4000
(2400万)
4800x2700?(1296万?)
D850
(FXモード)
ニコン1.05倍25mm29mm2.7型2.57型8256x5504
(4544万)
8256x4640→
4画素加算→
4128x2320?
(957万?)
D850
(DXモード)
ニコン1.60倍38mm44mm2.7型1.68型8256x5504
(4544万)
5408x3040
(1644万)
D5ニコン1.52倍36mm43mm2.7型1.77型5568x3712
(2070万)
3840x2160
(829万)
D500
D7500
ニコン1.52倍36mm43mm1.76型1.16型5568x3712
(2070万)
3840x2160
(829万)
1D C
(DCI 4Kのみ)
キヤノン1.34倍32mm38mm2.7型2.01型5184x3456
(1792万)
4096x2160
(885万)
1D X Mark II
(DCI 4Kのみ)
キヤノン1.42倍34mm39mm2.7型1.90型5472x3648
(1996万)
4096x2160
(885万)
5D Mark IV
(DCI 4Kのみ)
キヤノン1.74倍42mm49mm2.7型1.55型6720x4480
(3011万)
4096x2160
(885万)
EOS Kiss Mキヤノン1.64倍39mm46mm1.68型1.02型6000x4000
(2400万)
3840x2160
(829万)
GH5Sパナソニック1.00倍24mm28mm1.35型
*4
1.35型4016x2256
(906万)*4
4016x2256
(906万)
GH5
G9
パナソニック1.09倍26mm31mm1.35型1.24型5184x3888
(2016万)
5184x2916
(1512万)
GH4パナソニック1.31倍31mm37mm1.35型1.03型4608x3456
(1593万)
3840x2160
(829万)
G7
G8
GX7MK2
パナソニック1.30倍31mm36mm1.35型1.04型4592x3448
(1583万)
3840x2160
(829万)
GX8パナソニック1.47倍35mm41mm1.35型0.92型5184x3888
(2016万)
3840x2160
(829万)
E-M1 Mk2オリンパス1.09倍26mm31mm1.35型1.24型5184x3888
(2016万)
5184x2916
(1512万)
E-M10 Mk3オリンパス1.09倍26mm31mm1.35型1.24型4608x3456
(1593万)
4608x2592
(1194万)
BMPCC 4K
*5
ブラック
マジック
デザイン
1.00倍24mm28mm1.34型
*5
1.34型4096x2160
(885万)
4096x2160
(885万)
X-T2
X-H1
富士フイルム1.23倍
*2
30mm34mm1.77型1.44型6000x4000
(2400万)
5210x2880
(1475万)
X-T20
X-E3
富士フイルム1.05倍25mm29mm1.77型1.69型6000x4000
(2400万)
6000x3376→
ラインスキップ*3
→6000x1688?
(1013万?)

*1 α6300/α6500/α9の4K・30P記録時の有効画素数は829万画素の「1.6倍」とのメーカー情報に基づき、4800x2700(約1.56倍)と仮定。
*2 X-T2製品公式ページの「1.17倍」は、センサー全域(アスペクト比3:2、6000x4000)ではなく16:9の領域(6000x3376)に対するクロップ倍率。
*3 X-T20のラインスキップ方式採用のソースは、メーカーの海外の広報担当者インタビューなど。
*4 GH5Sはマルチアスペクト機能対応、センサー全域のサイズはIMX294CJKの画素ピッチ「4.63µm」と17:9時の水平画素数・4:3時の垂直画素数から推定すると、1.46型相当。「写真時の有効画素数」はアスペクト比16:9のときのもの。詳細は「マルチアスペクト機能」参照。
*5 正確な機種名は「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K」。また、DCI4Kの数値で掲載。センサー全域は一回り大きいGH5Sと同じセンサーの可能性あり。

ビデオカメラ

機種名メーカー写真時の焦点距離4K動画時の焦点距離F値センサーサイズ4K動画時の実質センサーサイズセンサー有効画素数4K動画時の有効画素数使用領域模式図
AX1ソニー(静止画記録非対応)31.5-630mmF1.6-3.41/2.3型1/3.2型1890万画素829万画素
AX100
AX700
ソニー29-348mm29-348mmF2.8-4.51型0.87型2020万画素5024x2824
(1419万)
AXP35
AX33
AX30
ソニー26.8-268mm29.8-298mmF1.8-3.41/2.3型1/3.2型1890万画素829万画素
AX55
AX40
AX60
AX45
ソニー26.8-536mm26.8-536mmF2.0-3.81/2.5型1/2.5型829万画素829万画素
X1000パナソニック30.8-626mm30.8-626mmF1.8-3.61/2.3型1/3.2型1890万画素829万画素
WX970Mパナソニック30.8-626mm30.8-626mmF1.8-3.61/2.3型1/3.2型1890万画素829万画素
WXF990M
WX990M
VX980M
パナソニック30.8-626mm30.8-626mmF1.8-3.61/2.3型1/3.2型1890万画素829万画素
DVX200
(DCI 4Kモード)
パナソニック(未確認)29.5-385mmF2.8-4.51.35型1.17型5248x3836
(2066万)
5032x2654
(1335万)
DVX200
(UHD 30P)
パナソニック(未確認)30.6-399mmF2.8-4.51.35型1.13型5248x3836
(2066万)
4787x2692
(1289万)
DVX200
(UHD 60P)
パナソニック(未確認)37.2-485mmF2.8-4.51.35型0.93型5248x3836
(2066万)
3934x2213
(871万)
UX180
HC-X1
パナソニック(未確認)25.4-508mmF2.8-4.51.35型?
*1
0.99型5248x3836?
(2066万?)
3952x2224?
(879万?)
UX90パナソニック(未確認)35.4-531mmF2.8-4.51.0型0.67型2070万画素859万画素
XC10
XC15
キヤノン24.1-241mm27.3-273mmF2.8-5.61型0.87型4000x3000
(1200万)
3840x2160
(829万)
GX10キヤノン(未確認)25.5-382.5mmF2.8-4.51型0.87型4000x3000
(1200万)
3840x2160
(829万)
HM200ビクター(未確認)29.6-355mmF1.2-3.51/2.3型1/2.6型4072x3046
(1240万)
3840x2160
(829万)

*1 UX180のセンサーサイズの推定については、「ビデオカメラの実質センサーサイズを計算してみる」該当部分参照。

DCI 4Kモードの焦点距離について

DCI 4K・UHD両対応の機種で、DCI 4K時に使用するセンサー領域がUHDのときより単純に横に広がるだけの機種(DCI4K・UHD両対応の機種の多くがそれに該当します)は、UHDモード時の焦点距離を1.05で割れば、DCI4Kモード時の焦点距離を算出できます。

なぜ4K動画モード時に画角が狭くなる仕様の機種が多いのか

デジカメで4K動画モード時に広角側が狭くなる機種が多いのは、簡単に書くと以下のような事情によります。

画像エンジンの性能の限界

デジカメやビデオカメラには、光を電気信号に変えるイメージセンサーと、その電気信号を処理・加工して静止画や動画を生成する画像処理エンジン(画像エンジン)が搭載されていますが、それらに関して、

という現状があります。

本来はセンサーから全画素(最近のデジカメだと1600万画素以上が主流)を毎秒30〜60フレーム読み出して画像エンジンへと受け渡し、画像エンジン側でその全画素を4K動画(約829万画素)へとリサイズするのが、より高画質を実現する上で理想的です。

しかし現状のデジカメに内蔵されている画像エンジンの多くは性能に限界があり、連続的に安定して動作させることを考慮すると、1秒当たりの処理画素数はなるべく少ないほうが無難です。この点は、現状まだ4K・毎秒30フレームの機種が多く4K・毎秒60フレーム記録に対応した機種が少ない理由にも関連しています。

デジカメ専門サイトに載るメーカーの開発者のインタビューなどを見ていると、どうやら安定して動作させる上で特にネックとなるのは排熱の問題のようで、あまりに多くの画素数を連続して処理し続けることは、オーバーヒート(回路などの過熱)を引き起こしやすく、技術的な難しさがあるようです。

なお、写真の場合は、連写したときでも動画ほどには1秒あたりに処理するフレーム数が多くはなく、且つ長い時間連続して記録することが求められません。そのため写真モードでは画像エンジンが処理できる1フレームあたりの画素数はもっと多く、ほとんどの場合センサーの全画素が処理の対象になります。

もっともシンプルな解決策は…

そこで、4K動画時に画像エンジンへと受け渡す画素数(情報量)を軽減させるもっともシンプルな解決策が、センサーの中央から4K動画に必要最低限の画素数である3840x2160の範囲をクロップ(切り取り)して毎秒30フレームで読み出し、画像エンジンへと受け渡す方法です。センサー全体の中央部のみを使うので、写真モード時より画角が狭くなるというわけです。

この対応方法を、このページでは仮にクロップ方式と呼びます。メーカー別でみると、キヤノン・ニコン・パナソニックの機種に多く見られます。メーカーの製品ページでは「ドット・バイ・ドットによる読み出し」などと表現されることもあります。

センサーの総画素数が大きくなるほど、全体に占める3840x2160画素の領域の割合は狭くなります。そのためクロップ方式を採用している機種では、センサーの総画素数が多いほど、4K動画時の画角の狭まり方が顕著になります。

一覧表で「4K動画時の有効画素数」が829万画素になっている機種はいずれもクロップ方式ですが、それらの機種では、センサーの総画素数が多いほど、写真モード時と4K動画モード時の広角端の違いが大きくなっているのが見て取れます。逆に1200万画素あたりの機種では、4K動画モードでもあまり狭くなりません。

以下は1200万画素・1600万画素・1800万画素・2000万画素・2400万画素・3000万画素のセンサー(アスペクト比3:2)から、中央829万画素(3840x2160)をクロップ方式で切り出した場合のイメージ図です。外側のモノクロ部分も含めた範囲が写真モード時で、真ん中のカラー部分が4K動画時に映る範囲です。最後の1枚は、全画素読み出しをした場合に映る範囲です。

該当の機種例も添えていますが、パナソニックはセンサーのアスペクト比が4:3の機種が多く、キヤノンXC10も4:3です。また、キヤノン1D Cと5D Mk4はUHD(3840x2160)ではなくDCI4K(4096x2160)対応です。そういったセンサーアスペクト比や4Kモードが違っている機種では、実際には下記イメージとは若干異なります。

フルHDのときは狭くならなかったのに…?

しかし、フルHD動画については、デジカメでも極端に広角側が狭くなることはありません。厳密にはアスペクト比3:2→16:9の変化で上下が少し切られますが、横方向は写真のときと同じ範囲を映せる機種が多いと思います。この理由について、あまり複雑になりすぎない範囲で概略を書くと、以下のようになります。

フルHDで使われていた画素加算

フルHD動画の場合は、画素加算・画素混合やラインスキップなどと呼ばれる方法で、センサーから画像エンジンに受け渡す画素数を200〜400万画素程度に軽減させていました。

下記の図はFZ1000にも使われているセンサーを例にとっていますが、フルHD動画モード時には、センサーの全領域のうち上下を少し切って、5472x3076の領域を使っています。横方向に関しては写真と写る範囲は同じになります。

5472x3076=1700万画素ほどありますが、これをたとえば4つの画素を仮想的に1画素として読み出す4画素加算方式で読み出すと、2736x1538=421万画素程度になります。それを画像エンジンに受け渡し、最終的に1920x1080=207万画素のフルHD動画を生成させます。

(参考:製品情報 IMX183CQJ、リンク切れのためWeb Archiveより)

センサー側での画素加算は、画像エンジン側で1700万画素を421万画素にリサイズするのとはまったく違った仕組みです。センサー側で出力画素数を減らしておくことで、画像エンジンの以降の処理の負荷を大幅に軽減させられます。

フルHDの場合には、写真用の画素数とフルHDに必要な画素数とが4倍以上も大きく開いていたので、こうした方法をとることができました。

4K動画で画素加算を採用しようとすると…

ところが4K動画の場合、4画素加算で読み出した結果が829万画素(3840x2160)以上になるためには、センサーの総画素数は約3300万画素(7680x4320)以上必要です。1600万〜2400万画素あたりのセンサーは、4K動画向けに画素加算による読み出しをするには中途半端な画素数で、画素加算が効果的な選択肢にはなりません。

しかし最近では、ソニーのα7R IIやニコンD850のように、4000万画素を超える超高画素センサーを搭載し、4K動画モード時は4画素加算で829万画素以上を読み出して写真のときとほぼ同じ画角を実現する機種も登場しています。

4K動画時に広角側が狭くならない仕様にするには…

デジカメの製品設計で4K動画時と写真時との画角の違いを少なくするには、

などの方法が考えられます。

(1)全画素読み出しやオーバーサンプリング

(1)の例としては、一覧表のソニーα7S IIは、写真のときと同じ横幅の範囲を読み出して画素加算せずに画像エンジンに受け渡し、4K動画を生成しています。RX10・RX100シリーズは写真時に比べ上下だけでなく左右もまだ若干狭くなるようですが、それでも829万画素よりも大幅に多い画素領域を読み出し、従来のクロップ方式に比べると、写真モード時と4K動画モード時の画角の違いは緩和されています。メーカー別でみると、ソニーが当初からこの路線を採用し、その後富士フイルム・オリンパス・パナソニックも追従しています。

4Kより多くの画素数を読み出して4Kへとリサイズすることから、メーカーの製品ページでは「オーバーサンプリング」といった呼び方で書かれていることがあります。

高画質と画角を両立できるいちばん理想的な方法ですので、画像エンジンの高性能化にコスト面との折り合いがつくのであれば、こういった方向性の機種が増えてくると思います。ただしCMOSセンサーでは一般に読み出し時の画素数が多くなるほどローリングシャッター歪みが発生しやすくなるため、必ずしもメリットばかりではありません。

また、オーバーサンプリング採用機種の中には、ソニーα6300・6500・α7R II、パナソニックの業務機DVX200のように、フレームレートによって読み出し領域が変わる(30fps・60fpsのときは、24fpsのときよりも狭くなる)機種もあります。フレームレートの増加につれ1秒あたりの処理画素数が増えますので、これも画像エンジンの限界によるものと思われます。60fpsへの対応など、フレームレートの向上を優先するならば、読み出し画素数を抑えるほうが有利です。GH5は4K・60fpsでもセンサーの横幅いっぱいを使って24fps・30fpsと画角が変化しませんが、どのような内部処理をしているのか、気になります。

(2)センサーの画素数を控えめにする

クロップ方式でもセンサーの画素数が1200万画素程度であれば、4K動画時に広角側があまり狭くなりません。最近のデジカメの主流は1600万画素以上となっていますが、写真と4K動画の両立という点では1200万画素くらいが最適の画素数かもしれません。しかし、デジカメは常に高画素化がトレンドのため、1200万画素クラスの機種の増加は期待できなさそうです。

(3)超高画素センサー搭載で画素加算による読み出しをする

これに該当する機種は今のところ少ないですが、α7R IIやD850などがあります。センサーを3300万〜4000万画素台まで高画素化して画素加算などで読み出すのも、フルサイズやAPS-Cのカメラでは選択肢になっていくかもしれません。

(4)大幅に間引いて読み出し、補完処理で4K動画にする?

2017年2月発売の富士フイルムX-T20は2400万画素センサー搭載で、4K動画時はセンサー横幅いっぱいの6000x3376のエリアを使ってクロップはしませんが、ラインスキップにより読み出し画素数を間引いています(ソースはメーカーの海外の広報担当者インタビューなど)。

インタビューでは「ハーフラインスキップ」と表現されていますが、これが縦方向3376列全部の半分だけを読み出していることを意味するならば、画素数でいえば6000x1688相当になります。横方向の解像力は十分ですが、縦方向は2160画素には足りず、本来の4K動画よりも解像力が落ちます。しかし、画角だけを見れば、上位機種のX-T2よりも写真モードと4K動画モードでの変化が少なくなっています。

通常、画素加算やラインスキップは、「4K動画で画素加算を採用しようとすると…」でも触れたように、間引いた結果が目的の縦横の記録画素数と同等かまたはそれよりも多い画素数を確保できる場合に採用しますが、仮に上記の解釈が正しいのであれば、X-T20では目的の縦横の記録画素数よりも少ない画素数にまで間引かれていることになり、珍しい例だと思います。

なお、カラーフィルターがベイヤー配列になっている一般的なセンサーでは1列ずつ飛ばすと取得できない色が出てくるため、これまでフルHD動画の読み出し時にラインスキップを採用した他メーカーの機種では、2列飛ばし(3列のうち1列を読み出す)でした。富士フイルムではX-Transと呼ばれるカラーフィルターが使われていますが、単純に1列飛ばしなのか、あるいは違う間引き方なのか、詳しいことはわかりません。

また、既存の機種でも、フルHDで120fpsや240fpsなどのハイスピード動画(スーパースロー動画)を撮れる機種の多くは、ハイスピード動画時にはフルHDに必要な画素数よりも少ない画素数に間引いて読み出してその余力でフレームレートを稼ぎ、画像エンジン側で補完処理してフルHDとして記録しています。そのためハイスピード動画時には解像感が今ひとつになる機種が多いと思います。

マルチアスペクト機能

2018年1月に発表されたパナソニックDC-GH5Sは、マルチアスペクト機能が特長の一つとなっていて、アスペクト比17:9、16:9、3:2、4:3のいずれを選んでも、焦点距離が変化しません。4K動画時のクロップもないため、たとえば24mmスタートのズームレンズは動画時にも24mmスタートとなります。

通常、デジカメのセンサーはアスペクト比が3:2または4:3です。写真時にはセンサー全域を使用しますが、動画時にはアスペクト比が16:9になるため、センサーの横幅いっぱいを使う機種であっても、上下は少しクロップされ、焦点距離が変わります。たとえばパナソニックG9に換算24mmスタートのズームレンズを付けると、動画時には26mmスタートになります。

また、写真・動画の切替の他にも、センサーのアスペクト比が3:2のデジカメで4:3の写真を撮るときには左右が少しクロップされますし、逆に4:3のデジカメで3:2の写真を撮るときは上下がクロップされます。こういった写真モード時のアスペクト比の変更でも、焦点距離に若干の変化を伴います。

ここで、アスペクト比を変更しても焦点距離が変わらないようにするのが、マルチアスペクト機能です。

通常のデジカメではイメージサークル(レンズを通った光が届く円形の範囲)にぴったり収まるサイズのセンサーを搭載するのに対し、マルチアスペクト機能対応のカメラでは、上図のように、イメージサークルから少しはみ出るサイズのセンサーを採用します。これにより、アスペクト比の変更の際、上下・左右の単純なクロップではなく、上下・左右への使用領域の拡大も可能となり、焦点距離を同一に維持できます。

マイクロフォーサーズ規格のようにアスペクト比4:3を基準とするセンサーでは、動画時16:9にする際の上下のクロップ幅が比較的大きいため、マルチアスペクト機能は効果的です。一方で、もともとのセンサーサイズが大きくアスペクト比が3:2のフルサイズでは、16:9への変更による動画時の実質センサーサイズの減少幅や焦点距離の変化は比較的軽微なため、マルチアスペクトの必要性は低いかもしれません。

同機能は過去にはパナソニックGH1・GH2でも採用されていました。レンズ一体型デジカメでは、LX100もマルチアスペクト対応です。

余談ながら、2018年4月発表のBlackmagic Pocket Cinema Camera 4Kについては、仕様表記載の有効センサーサイズ(18.96x10mm)・有効画素数が、GH5Sの17:9動画時のセンサーサイズ・有効画素数とほぼ同じで、ともにデュアルネイティブISO機能対応を謳っていることから、同じセンサーを採用しているのではないかと思います。

ビデオカメラの場合

ビデオカメラの場合、デジカメと違って動画優先の仕様にできるため、4K動画対応のビデオカメラは広角側も最初から4K動画前提で設計されています。そのため、一覧表のとおり、写真モードのときと比べて画角が…といったような問題は目立ちません。

少し詳しく書きますと、ビデオカメラも、デジカメ向けの1800万〜2000万画素くらいのセンサーを搭載して、センサー中央の829万画素のみを使うクロップ方式の機種が多いようです。

しかし、デジカメの4K動画でクロップ方式を採用する場合と違って、ビデオカメラではレンズのイメージサークルをクロップ適用後の範囲に合わせ、クロップ領域の外側はまったく使わないようにする設計が可能です。そのため、ビデオカメラは高画素センサー・クロップ方式であっても広角側を確保できますが、副作用として、仕様表記載のセンサーサイズと撮影に実際に使われるセンサー領域が大きく乖離する機種も出てきます(乖離の例は「ビデオカメラの実質センサーサイズを計算してみる」もご参照ください)。

ビデオカメラがデジカメ用の高画素センサーを流用するのは、おそらく、あまり数の出ないビデオカメラ用に専用センサーを設計するよりはコスト的に有利だからと思われます。そうした中で、2016年1月に発表されたソニーAX55・AX40は、1/2.5型・アスペクト比16:9・総画素数857万画素という4Kハンディカムに特化したともいえるセンサーを採用している点は注目されます。

限られる選択肢

デジカメの4K動画で広角が狭くなる機種が多いという問題は、根本的には、静止画が主目的の機材に動画機能を求めるところに端を発しています。本来、餅は餅屋という観点からすれば、動画目的であればビデオカメラから選ぶのが理想的なはずでした。

しかし現状では、大型センサー(1型以上)の動画撮影機材、レンズ交換可能な動画撮影機材を選ぼうとすれば、豊富な選択肢があるのはデジカメのほうです。ビデオカメラでは、小型センサー(1/3型前後)・レンズ一体型が大半です。今後もしばらくは、デジカメが動画目的の機材としても選択肢に含まれる状況が続くと思います。

その他の機能をまとめてみる (2017年8月28日追加)

ここまでは主に焦点距離のみを取り上げてきましたが、各メーカーの代表的な機種に対し、4K動画に関して焦点距離以外の特長の有無を簡単にまとめてみました。

以下で挙げられた特長は映像のクオリティに相当にこだわって撮るのでない限り直接必要とされることは少なく、先述の焦点距離が狭くなる問題に比べれば、全部の欄が×でも一般的な用途にはほとんど影響ないと思います。とは言え、これらの機能に対応していることによりカメラ自体の基礎的な性能が底上げされ、通常の用途でも間接的なメリットがいろいろあるかもしれません。たとえば、60fpsや120fpsなど高フレームレートへの対応は、それより低いフレームレートで撮影する場合のローリングシャッター歪みの低減にも繋がります。

表を眺めてみて、はたして4KのRAW動画記録に対応する民生機は登場するでしょうか?REDシネマカメラのような特殊な圧縮RAW形式であれば、4K・24fpsの場合たしかビットレートは500Mbps前後にまで抑えられたと思いますので、転送速度だけを見ればの圧縮RAW動画を高速なメディアカードに何とか記録することは可能そうですが…。

【2018年4月10日追記】RAW記録に対応したBlackmagic Pocket Cinema Camera 4Kが発表されました。

機種名RAW
記録
フレーム内
圧縮記録
LOGカメラ内
4:2:2記録
HDMI
クリーン出力
60fpsDCI 4KHDR予備欄
1D C×MotionJPEG8bit8bit 4:2:2××
1D X Mk2×MotionJPEG×8bit× *1×
5D Mk4×MotionJPEG*28bit× *1××
α7S II×××8bit 4:2:2×××
GH5S×AVC ALL-Intra10bit10bit 4:2:2HLG方式
GH5×AVC ALL-Intra*210bit10bit 4:2:2HLG方式
GH4××*2×10bit 4:2:2××
G9××××8bit 4:2:2*3××
BMPCC 4KCinemaDNGProRes10bit10bit 4:2:2
D850××××8bit 4:2:2×××
X-T2××*4×8bit 4:2:2×××
X-H1×××8bit 4:2:2××
iVIS GX10××××8bit 4:2:2××
FDR-AX700×××
詳細未確認
××HLG方式

*1 HDMI出力はフルHDまでの対応、4K出力は不可。
*2 有償ファームウェアアップデートによる対応。
*3 連続10分まで。
*4 LOGはHDMI出力のみ、内部記録は不可。

各機能の簡単な説明です。もう少し詳しい説明は、「撮影機材ガイド デジタル一眼動画の基本情報編」の「その他のキーワード」の項もご参照ください。

動画のRAW記録

写真のRAW記録の動画版です。動画の1コマ1コマをRAW写真として記録します。編集に要する手間や時間が格段に増えますが、露出や色の加工の許容性が大幅に広がります。

フレーム内圧縮記録

ほとんどの民生用カメラで採用されているのは、前後複数のフレームにまたがって動画圧縮する「フレーム間」圧縮です(仕様表やカタログではLong GOPとも表現されます)。「フレーム内」圧縮の場合は1フレームごとに圧縮を完結させるため、動きの激しい被写体を撮ってもビットレート不足によるブロックノイズが発生しません。ALL-Intraなどとも呼ばれます。

LOG

特殊なガンマカーブで記録することによって、RAW記録ほどではないですが、色の加工の許容性が広がります。

カメラ内4:2:2記録

外部レコーダーではなくカメラ内部のメモリカードにYUVサンプリング比4:2:2で記録できます。民生機で一般的な4:2:0より色の再現性が上がります。量子化ビット数は8bitの機種が多いですが、10bitのものはより階調が豊かになります。

HDMIクリーン出力

カメラとHDMI接続して使う外部レコーダーでの録画を考慮して、カメラの各種設定状態を示す字幕情報がないクリーンな映像信号のみを圧縮せずにHDMIから出力します。4:2:0 8bitでの出力が一般的ですが、4:2:2 8bitまたは10bitでの出力に対応する機種もあります。

60fps

動きのある被写体も滑らかに記録できます。

DCI 4K

UHD(3840x2160)よりもやや横長の、4096x2160の記録に対応します。主に映画制作向けの規格です。

HDR(ハイダイナミックレンジ)

映像の輝度(明暗)の範囲を従来以上に広げた新規格に対応します。HLG方式(ハイブリッドログガンマ)はHDR対応の規格の一つです。

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