Top > Works > サイト開設20周年のご挨拶 (2025年6月14日)

サイト開設20周年のご挨拶

日頃このサイトをご覧いただき、ありがとうございます。

2025年5月をもちまして、Webサイト「Route207 Revisited」の開設から20年が経ちました。2005年に初めて泥んこ作品を掲載して以来、細々とした個人の活動に過ぎないものをここまで続けてこられたのは、作品をご購入いただいている皆様、サイトをご覧の皆様、その他様々な場面でお世話になった皆様のおかげで、この機会に改めてお礼申し上げます。

20年と言うと、数字だけを見るとそこそこ長いような気がしますし、初期の作品を見ると自分でも懐かしいという感覚を受けます。当時はインターネットや情報技術をめぐる状況も今とは全然違っていました。インターネットは今ほど普及しておらず、Googleは今のような巨大企業ではなかったと思います。スマートフォンは登場しておらず、広く普及したSNSはまだありませんでした。

当時、作品を制作し、それを公開しようとすると、動画の撮影にはテープメディアに記録するビデオカメラが必要で、販売の際にはDVDやVHSのような物理メディアしか現実的な選択肢がありませんでした。お客様への作品紹介と購入方法の告知のためには、HTMLを書いて自分のWebサイトを作成する必要がありました。個人が趣味で新しくWebサイトを起ち上げると、その界隈で先達の有名サイトの掲示板に書き込むことで告知させていただき、それをご覧になった同好の方々が訪れて気に入ったらブラウザにブックマークをして、更新がないかときどきサイトをご訪問いただく、というのが一般的でした。検索サイトに登録されるまでには時間がかかるため、個人のWebサイトがジャンル内に周知されるには運営者に相応の忍耐力が必要でした。このように、アマチュアにとって映像作品の制作・販売はなかなかハードルの高い行為でした。しかし今思えば、たいへん牧歌的な時代だったとも言えると思います。

それが今では、広く普及したSNSを使って発信することであっという間に同好の方にアプローチすることが可能になり、本当に便利で即時性の高い時代になりました。ダウンロードやストリーミングによる便利な動画販売プラットフォームがいくつもあり、自分のWebサイトを構えなくてもそういった販売プラットフォームやSNSを拠点に情報発信や更新の告知をするほうがむしろ効率が良く、極端にはスマートフォン1台で高画質な動画の撮影から作品の公開・販売までが可能になっています。現在、このページをスマホからXの更新告知経由でご覧になっている方もかなり多いのではないかと思います。

そうした変化の一方で、活動内容・作品内容の根幹はその間あまり変わっていません。特に、撮影現場の雰囲気、交わされる会話は、20年前も今もそう大きく違っていないかもしれません。たしかに、「ウルトラクイズ」という言葉が最近のモデルさんには通用しないなど、世代間ギャップを感じる場面もあるのですが、それと同時に、撮影に来る方の前向きな姿勢、好奇心、チャレンジ精神は、いつの時代も変わらない部分だと感じています。また、ご覧の方がどのようなコンテンツを求めてサイトをご訪問いただいているのかということも、おそらくそれほど変わっていないと思います。

考えてみると、たとえば一般的な日常生活においては、20年も経つと家族・友人知人・職場など人間関係全般が大きく変わっていき、それにつれてお互いの関心の重点、交わされる会話のテーマも変化していくものです。しかしこのサイトを通じて撮影やイベントで出会う方々とは、いわゆる「A面」や「オモテ」とはまったく別の時間軸で、束の間のことではあれ、しがらみを忘れた自由なコミュニケーションができる気がします。これはこの活動をやっていて本当に良かったと思える最大のことでした。

もちろん、実際には、こうした趣味的な活動もその時々の社会情勢から大きな影響を受けながら存在しているのも確かです。A面や日常から切り離された自由空間というのは一種の幻想でありとても脆いものだということを強く思い知らされたのが、5年前のコロナ禍でした。ちょうどそのような中で掲載したのが、15周年のご挨拶です。当時は先の見えないコロナ禍の入り口で、それまで経験したことないタイプのたいへんな社会状況だったこともあって、活動を継続して来られたことへの感慨は今よりもむしろ大きかったかもしれません。

さて、その後の5年間で私にとって意外だったのは、2021年の中頃から作品出演者募集へのお問い合わせが増え、それまでの数年間よりも撮影と作品リリースの頻度が増えたことです。出演者の探し方には、制作者による出演者募集への応募を待つ形式と、制作者がSNSなどを通じて被写体活動をしている方にお仕事のオファーを送る形式とがありますが、私は応募を待つ形式のほうにかなりの重点を置いています。だいぶ以前のご挨拶の中で、撮影ペースはモデルさんの応募状況に左右されると書いたことがありますが、基本的には今でもその構造は変わっていません。2020年はもっとも撮影ペースが低調だった年で、成り行きに任せるとこのままフェードアウトするかも、とも思っていたのですが、そうはなりませんでした。

もう一つ意外だったのは、2022年に「作品ご購入者様へのアンケートのお願い」を実施したところ、ご購入者様のうち、初めて作品購入をしていただいた時期について、直近2年間にあたる「2021~2022年」というご回答が22パーセントもあったことです。こうしたジャンルは、どちらかというと新規に興味を持たれる方の割合は低く、昔からの常連さんのほうが圧倒的に多いという思い込みがあったのですが、それは必ずしも正確な認識ではないということがわかりました。常に若い世代の方の新規参入があって、サイトや作品をご覧いただいていることを知り、活動を継続する上で大きな刺激になりました。

昨年後半あたりからまた出演者募集へのお問い合わせの数は減少傾向になっており、一方では同じ方にお仕事をご依頼する回数が増えていたりもして、今後がどのようなペースになるか、見通せないところもあります。できる範囲でゆるゆる続けていきたいと思いますので、今後もこれまで同様、気長にお付き合いいただけますと幸いです。

最後に、2020年に掲載したページの再紹介となりますが、サイト開設のきっかけとなった、2005年の干潟撮影の作品紹介ページを、公開当時に近い形で復刻掲載しています。雰囲気だけでもご笑覧いただければと思います。

締めの文章も2020年版と同じになってしまい恐縮ですが、もしこの初期版をリアルタイムでご存じの方がおられましたら、長らくのご愛顧まことにありがとうございます!

復刻ページはこちらからどうぞ↓

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