Top > Videos > 秘密基地を作っていろいろやってみた リポート前編 (2019年1月3日掲載)
前々から漠然と思っていた、自分の撮影用・趣味用に自由に使える秘密基地的な場所があったらなあ!という願望を、2018年の夏から秋にかけて、かなり小規模な形ではありますが、一時的に実行に移してみました。そのまとめリポートの前編です。(後編はこちら)
Twitterにはときどき画像や動画をあげていたので、それにより既にご覧いただいた方も多いかと思います。
パイ投げや絵の具などのまみれ系の撮影や実践は、場所がよごれないようにビニールで養生したり、大量の重い素材を持ち運んだり、準備や片付けにもかなりの手間を取られたりと、あらゆる側面で場所と時間の制約が存在しています。撮影場所にはシャワーなど洗い落とせる設備が必須で、普通のスタジオはなかなか使えません。同好の方々からも、実践したいが場所や環境に苦労しているというお話をよく耳にします。特に日本(なかでも都市部)の住環境は立地やスペースの制約が多いので、なおさらかと思います。
そうした中で、撮影を含め自分のこの趣味の活動用に、自由に使える秘密基地的なスペースがあったらいいのになあ!ということを以前からぼんやり考えていました。自宅や日常生活とは切り離した形で、自分が管理権を持っていつでも出入りができて、素材のストックや撮影機材を置きっ放しで、養生もしたままで、撮影希望の方が出てきたら場所探しの必要なくすぐにでも撮影ができて、撮影後にいろいろ放置したまま引き揚げて片付けはまた後日…みたいなことをしてもまったく問題ないような、そういうスペースです。
さすがにそれをずっと維持し続けるのは無理でも、1シーズンだけ、その真似事ができないだろうか?という気持ちが2018年に入ってふつふつと湧き始め、具体的に検討を始めたのが春先あたりでした。
いざそういう場所を借りるとなると、どれだけ短期間であれ当然相応の部屋代・場所代が必要になりますし、またこのサイトは本業ではなく趣味で運営していますので、基本的には土日(と平日夜)しか動けません。そんな状況で、費用に見合うだけ有効利用できるだろうか…という大きな迷いもありました。
しかし年々こうした活動にとれる時間も少なくなっていくだろうし、できるうちに一度やっておこう、というわけで、実行の運びとなりました。
一人暮らしでご自宅での実践や撮影をし放題という方でしたら既におられるかとは思いますが、個人的には企画の趣旨として「日常とは切り離した形で」というのもポイントの一つで、秘密基地ごっこのようなものであれば試した人はまだそうそう多くないだろうから、あとでリポートでもまとめれば多少面白いかもしれないという考えもありました。
【1~3枚目】ふだんの撮影は大量の荷物を運んでたいていホテル(ラブホ)を利用しています
【4枚目】2017年の泥風呂は、個人的なご厚意でお部屋を1~2日お借りして行いました
※元の作品ページは順に、「ペイント体験その30 偶然編」、「白塗りその16」、「パイ投げ体験その26 包含編」、「マッドバスその1」より。
場所の大前提として「場所を借りている期間中、日程と時間を気にせずに自由に出入りできること」(=期間中、出入りのための鍵を自分で持てること)が条件になりますが、これに当てはまるものとして、ウィークリーマンション・マンスリーマンションの類いから探すことにしました。いちばん良いのは、この趣味でのお知り合いやその伝(つて)から、余っているお部屋などを個人的なご厚意により長期的に割安で貸していただけるような事例ですが、残念ながらそのようなコネは全然なく…。
ハウススタジオ型のスタジオの長期レンタル、海外からの旅行者の急増で最近とみに増えている戸建てやマンションの民泊を長期で借りることも検討しましたが、いずれも料金で比較するとウィークリーマンション・マンスリーマンションよりもだいぶ割高になるため、早々に候補から外しました。
さらに、間取りと立地に関して、以下の条件がありました。
6月に入りガタリンピック後、ネットで検索すること数日、梅田のほど近くのエリアに、1Kで面積はあまり広くないですがバス・トイレ・洗面独立の比較的安価な物件を見つけ、さらに数日最終決断を迷った上で、そこに決めました。自宅から電車と徒歩で約30分、アクセスに関しては申し分ないものでした。
時期は8月某日からの約3か月足らず、期間の長さに応じて費用も高くなるため、予算的にはそれが精一杯というところでした。
7月頃からTwitterで泥風呂のモデルさん・体験希望者さんの募集を始めましたが、この部屋での泥風呂設置を念頭に置いたものでした。
【画像】2018年6月の干潟撮影より。日常のすべてを忘れられるイベントです。(Kajiさん撮影)
※「泥んこ体験その24 連日編」、「泥んこ体験その24 追加写真集」より。
8月某日に入室。契約前に内見はできなかったので、少し懸念していたのは、実際に見てみたら何もできないくらいに狭かったらどうしよう、というものでした。
寸法入りの間取りの図面とサンプルの写真でおおよその広さは把握していたので大丈夫だろうとは思っていましたが、バスルームに関しては、実際に見た印象は「思てたより狭い」でした(バスタブの寸法、幅94cm、奥行き50cm、深さ50cm)。まああくまで2017年に使わせていただいたスペースに比べてのことで(幅100cm、奥行き60cm、深さ40cm、「マッドバスその1」など )、泥風呂自体はできそうです。
ウィークリーマンション・マンスリーマンションは基本的な家電・家具は最初から置かれていて、洗濯機と冷蔵庫があるのは、水着と衣装の洗濯やホイップの保管の点で便利です。一方で、寝泊まりはしないのでベッドは邪魔です。しかし全体としては便利さのほうが上回っていると思います。
こうして、「秘密基地もどきで、やりたかったことをいろいろ試してみよう企画」がひっそりスタートしました。
【1枚目】バスタブ。2017年に使わせていただいた場所よりやや狭い
【2枚目】部屋部分のイメージ図。ベッドは邪魔なので後日壁沿いに立てました
【3枚目】入って最初にやったことの一つが、バスルームの電球の付け替え。明るめの白色タイプにします
今回の企画を思いついたきっかけの一つが長期的に泥風呂を設置することでしたので、入室してまずそれに取りかかりました(お手伝いいただいた方、ありがとうございました)。2017年に、CMC素材にでんぷん糊を混ぜ込むと、でんぷん糊に含まれる防腐剤・抗菌作用により長期にわたって品質がもつことが少量での実験でわかっていました。とりあえずCMC風呂に混ぜ込んでみて、品質がもつ限り放置してみよう、その間に作品用撮影が1、2回できればいいかな、と考えました。
【1枚目】ピグメントやCMC
【2枚目】チタニウムホワイトを投入
【3枚目】泥色のピグメントを投入
【4枚目】CMCを入れてある程度撹拌したところ。まだダマばかりです
【5枚目】仕込み翌日の撮影後。だいぶ溶けていますが、中にはまだダマがあります。
【6枚目】1週間後。表面も中も、ほぼダマは消えています。
そういうわけで、仕込み翌日にとりあえずCMC風呂で作品撮影。これを済ませて、少なくともこれで成果ゼロではなくなったと一安心しました。なお、期間開始前にモデルさんが決まっていた作品撮影は、この最初のCMC風呂の1件のみです。公開用ではない撮影が数件決まっていたものの、それ以外は完全にノープランでした。
【画像】CMC風呂最初の作品撮影より。まだサイトには掲載していません。(【追記】その後、「マッドバスその10 安息編」として掲載しました。)
この撮影の後日にも作品撮影できましたが、そちらは「マッドバスその6 浮遊編」として掲載済みです。
泥風呂を使わない日が多いのは勿体ないが、かと言って作品用撮影で期間中の空き日程をすべて埋めるのは予算的に厳しい…というわけで、謝礼等はお出ししないかわりに自由に体験したり遊んだりしていただいてもいいですよ、という形で、Twitterにて体験ご希望の方がおられないか、ご連絡をお待ちしてみました。
7月に募集を開始した時点でぽつぽつお問い合わせはいただいていましたが、泥風呂開始直後、以前撮影させていただいたモデルさんとそのお友達の方が体験のために遊びに来られて、その方がTwitterに写真をあげられたのをきっかけに、その後、意外なほど多くの方々にご来訪いただきました。SNSの威力を実感した日々でもありました。
どの方もそれぞれの楽しみ方で、まったり泥風呂を味わっておられました。
いわゆる真性さんのような方以外でも、お仕事ではなく純粋に好奇心で頭まで全身どっぷり泥につかって楽しんでいただける方がこんなにも多くおられるとは、嬉しい発見でした。あとで合計してみると、CMC風呂の設置期間は23日、撮影・体験で入られた方は11名様でした。お越しいただいた皆様、ありがとうございました。
体験に来られた方々の写真の一部です。
Twitterに掲載した動画をまとめました。
19日に体験された方、お二人目(@non_712 さん)。コロンビアの泥火山でガイドが入浴者の頭を沈めてあげるのを見てそれをやってみたかったので、やってみる pic.twitter.com/khiYanXjuY
— himajin (@route207) 2018年8月20日
2日目、最初の方。仰向けで沈みにくいので、もう一人の方が手で押さえてあげる pic.twitter.com/keb25dvuqw
— himajin (@route207) 2018年8月19日
二人おられると掛け合いができていいですね pic.twitter.com/vRjyTZN98q
— himajin (@route207) 2018年8月30日
コロンビア泥火山風のアシスト再び。(@yami_x_ さん) pic.twitter.com/fjofW9sSY5
— himajin (@route207) 2018年9月7日
当初、使用しているのはバスルームのみで、部屋部分に関しては待機スペースという感じでしたが、いずれパイ投げなどにも使うかも、というわけで、とりあえず壁と床を養生しておくことにしました。ふだんの撮影であれば養生は面倒な作業の一つに過ぎないのですが、今回の場合は秘密基地ごっこのようなものと思えば、すぐには役立つ宛てのない養生にも、ちょっとした興趣がありました。
これを書きながら、そういえばスタジオあるく!さんの「メッシーライブ」では、養生や片付け作業の一部は参加者さんのお手も借りて皆さんが楽しそうに作業されていて、そうすることによって本来は面倒な作業がエンターテイメント化されているなあと思い当たりました。スタジオあるく!さんが意図されているのかどうかわかりませんが、イベントの仕組みに感心しました。
この養生は、あとでクレー風呂をしたときに役立ちました。
【画像1~2枚目】部屋部分の壁と床を養生
【画像3枚目】とりあえずホイップも買っておく
9月4日、台風21号が本州に上陸、暴風圏の各地に大きな被害をもたらしました(被害に遭われた方にお見舞い申し上げます)。「非常に強い」勢力のまま上陸するのは25年ぶりだそうで、大阪でもこれまでの生活で経験したことのない暴風が吹き荒れました。
ニュースやTwitterを見ていると、暴風による飛来物で窓ガラスが割れたという被害も各地にあったようで、台風が通過した夕方頃にふと不安がよぎったのは、部屋部分のベランダ側のガラスは大丈夫だろうか、ということでした。
翌日夜に確認にいったところ、幸いマンション付近一帯は大きな被害はなく無事だったようで、その点は安心しました。ただ、途中の道々で街路樹が倒れていたり、信号機があらぬ方向を向いていたり、ガソリンスタンドの屋根部分の板が落下していたり、ビルの看板が落ちかけていたり…と被害の大きさを思い知らされました。
時期は前後しますが、6月には大阪府で最大震度6弱の大きな地震がありました。そのときには既に候補物件を借りることを決めて契約も済ませ、2か月ほど後の入居を待つ段階でしたが、これがもし何かの撮影や体験の途中だったら…と想像して肝を冷やしました。
改めて、平穏な日常あってこそこういった遊びができるということを感じた数ヶ月間でもありました。
【画像】通り道で見かけた、暴風で被害を受けたホテルの看板
前々から一度試してみたかったけど実現できていなかったことの一つが、撮影現場からのライブ配信でした。
ふだんは荷物量の制約から配信用の機材を持ち運べなかったのと、データ通信量の制限のない高速なモバイル回線を所有していないというのが主な理由ですが、今回のような場所なら事前に運び込みが可能ですし、部屋に光回線が来ているため、ネット環境も問題ありません。Japan Messy Illustratorのやまとさんの「WAM生!」のようなコメントを取り入れた双方向的な放送となるとハードルが高いですが、現場の映像を純粋にライブで流すだけであればそんなに難しくないだろうと考え、まずはいちばん簡単そうなツイキャスを試してみました。
【画像】ツイキャスに使用したWebカム。Amazonで1400円くらいです。
バスルームにWebカメラを固定してUSBでノートPCに接続、Twitterにログインした上でツイキャス側の設定をすると、わりと簡単にライブ配信ができました。CMC風呂で2回、後のクレー風呂で1回、ツイキャスを行いましたが、そのときの動画は以下のライブの履歴ページからご覧いただけます。(合い言葉=視聴のためのパスワードは「doro」です)
1本目の配信は、何らかのエラーにより最初の50秒ほどが静止画状態になっています。50秒過ぎからご覧ください。
https://twitcasting.tv/route207/movie/491386968
https://twitcasting.tv/route207/movie/491582714
https://twitcasting.tv/route207/movie/493441888
※いずれも合言葉(視聴のためのパスワード)は「doro」です
ただ、やってみて気になったのは、素材の質感をお伝えするには画質が少し荒いかな?ということでした。もうちょっと高画質で配信できたらいいな、ということで、後のYouTubeライブ配信へと続いていきます。
気づくと9月の第1週が終わり、早くも全期間の3分の1くらいが過ぎようとしていました。
この時点では、非公開のメイク撮影を除くと、ほぼCMC風呂しかしていません、どういうことをするのか事前に細かなスケジュールを組んでいたわけではなく、その時々の撮影や体験に関するお問い合わせの状況や自分の関心の方向を見極めながら考えていくような感じでした。
後日掲載予定の後編へ続きます。後編はクレー風呂・パイ投げなどが登場予定です。
【1月13日追記】後編を掲載しました。こちらからどうぞ。