Top > Works > 格安BDプレイヤーを試してみる (2011年2月19日掲載)
当サイトで「泥んこ体験2007」Blu-ray版を掲載したのは、2008年4月でした。 その頃に比べるとBDの普及が進み、最近では実売価格が1万円を切るプレイヤーも登場し始めたようです。
現在、私の視聴環境ではBDの再生機器としてはBDレコーダーとPS3(PlayStation3)をメインに使用していますが(制作したBD版の再生確認にもそれらを利用しています)、上記のような状況を受けて、このたび予備機としてBDプレイヤーも導入してみました。
そこで、こうした価格帯のプレイヤーが出始めているということ、そして少なくとも今回導入した機種では当サイトで現在扱っているBDを正常に再生できたということについて、以下に記事にまとめて簡単にご紹介したいと思います。 BDプレイヤー・DVDプレイヤーの導入を検討されている方の参考材料になればさいわいです。
なお、このページは広告的な意図で書いているわけではなく、ここで取り上げている特定の機種のみをお奨めするものではありません。 一つの機種を試用をしてみてのレビューもどきに過ぎませんので、その点はあらかじめご了承ください。
このページにある機種と価格についての記述は、すべてページ制作時点のものです。 価格は常に変わる可能性があり、また、新機種の登場などの理由によりここで取り上げている機種が販売終了になる場合があります。 外部サイトへのリンクは、リンク先のサイトの更新によりリンク切れになる場合があります。
今回導入したのは海外メーカーLGエレクトロニクス製の「BD550」という機種です(メーカーサイトの製品ページ)。 2011年2月18日現在、ネットショップでは最安値が9500円前後で推移しています(価格.com参照。価格は常に変動の可能性があります)。
この機種を選んだ理由は、価格.com・Amazon等でユーザーからのレビューや投稿がそれなりに蓄積されている(=長所・短所ともその機種についての情報が豊富にある)こと、それに購入の検討時にたまたまAmazonで在庫があり安価に注文できたからです。
また、こうした海外メーカー製の格安プレイヤーでも個人制作のBD(PCでオーサリングしたBD)を問題なく再生できるかどうか、一度確認してみたかったという理由もあります。 この機種で大丈夫だからと言って同じ価格帯の他機種でもすべて同様とは言いきれませんが、判断材料の一つにはなるかと思います。
ネットショップではなく実店舗で見かけた中では、PCショップ「アプライド」で特売されていたWestinghouse製のBDS-110という機種が7980円で最安値でした(購入はしていません)。 今回のBD550については、ホームセンターにて8980円で特売されていたというネット上の情報もあります。
ご参考まで、ソニーのBDプレイヤーのエントリー機BDP-S370は1万5千円前後が最安値です(価格.com BDP-S370)。 いずれ国内メーカーのエントリークラスのプレイヤーも1万円をきってくるかもしれません。
画質や一般的な使い勝手については、先述のように価格.comやAmazonなどに多くのレビューが掲載されており、そちらのほうが参考になると思います。 この記事は、「PCでオーサリングしたBD」についての再生報告が中心になります。
Amazonから届いたBD550のパッケージは、片手で楽に持てるほどの軽さでした。 本体を取り出し、液晶テレビにHDMIケーブルで接続してコンセントに電源コードをつなげば設置完了です。 HDMIケーブルは製品に付属しないため、別途用意する必要があります。
市販BDソフトの中にはネット接続を利用するタイプのものがあるため、BD機器にはLAN端子も装備されています。 ネット接続は必須ではないですが、接続しておくとファームウェア(制御ソフト)の更新ができたりして便利です。
本体の幅はAV機器の標準サイズです。奥行き・高さはコンパクトなほうだと思います。 取扱説明書や画面のメニュー表示は日本語になっています。
このBD550を含む最近発売のBD機器では、HDMI接続でしかHD画質の映像を出力できない(=コンポーネント端子やD端子ではSD画質になる)という制限が適用され始めています。 これはBD規格に採用されている著作権保護技術の運用ルールに基づくものらしく、数年後にはコンポーネント端子・D端子から市販BDの映像を出力することができなくなる見込みです(インプレスAV Watchの記事)。
ただし、PCでオーサリングしたBD(当サイトのBDもそれに該当します)など一部のBDは、従来どおりコンポーネント端子・D端子でもHD画質で出力できます。 機能制限をまとめると、下表のようになります。一部にまだ制限の適用を始めていない機種もあるようです。
テレビとの接続方法 | 市販BDソフトの再生 | PCで制作したBDの再生 |
HDMI端子 | HD画質で出力 | HD画質で出力 |
コンポーネント端子 | SD画質に制限 | HD画質で出力 |
D端子 | SD画質に制限 | HD画質で出力 |
これらの制限を考慮すると、テレビにHDMI端子がなく且つ市販BDをHD画質で鑑賞したい場合は、この機種(と今後登場のBD機器)はあまりお奨めできません。 接続方法にHDMIを利用するのであれば、こうした制限は気にする必要はありません。
HDMI端子がないタイプのHD画質のテレビをご利用の方はまだかなり多いと思いますので、個人的には、こうした制限の実施を開始するのは早すぎるのではないかと思います。
なお、BD550にはコンポジット端子(端が黄色の一般的な映像ケーブル用端子)もありますので、従来のDVDプレイヤーと同じように、標準画質のテレビとの組み合わせでも利用できます。 コンポジット端子は、上記制限とは関係なくもともとSD画質までの出力です。
ご参考まで、パッケージや本体外観などの画像です。 画像がないページは地味に見えるので、随所に画像を…と思ったのですが、あまり適当な画像がありませんでした。
動作確認ですべての作品を最初から最後まで全編再生・視聴するのは時間的に難しいため、各作品のBDを順にプレイヤーにセットして、冒頭の数分がきちんと再生できるかどうか、さらにメニュー関係の操作におかしなところはないか、試してみました。
結果、一覧表に掲載されているBD版(泥んこ10作品・パイ投げ3作品)はすべて再生できました。 メインメニュー・ポップアップメニューの操作もふつうに可能です。
ためしに1作品、近々ご注文受付開始予定の「パイ投げ体験その5」を最初から最後まで再生させてみた結果、画質も含め何も問題はありませんでした。 早送り・早戻し・スロー再生など各種の特殊再生のレスポンスも良好です。
BDプレイヤー・レコーダーは、BDだけでなくDVDやCDも再生できます。 ついでにいくつかの作品のDVD版も試してみましたが、当然ながらそれらもごくふつうに再生できました。
細かなことになりますが、「泥んこ体験2007」・「泥んこ体験その4」の2作品のBD版については、今は配布を終了している初期版(メニューなしのBDAV形式、2009年5月まで配布)と現在取扱中の改訂版(メニュー有りのBDMV形式、2009年8月以降配布)の2種類があります。 メニューの有無以外は、本編の編集・画質からチャプタの位置に至るまで完全に同一であり、品質面での差はありません。
この「泥んこ体験2007」と「泥んこ体験その4」の初期版(2009年5月までに配布したBDAV形式版)は、BD550では再生できないようです(ローディング後、再生できずに本体がフリーズします)。 これら初期版で採用したBDAV形式もBD規格の一部であり、いずれもPS3・ソニー製BDレコーダー・パナソニック製BDレコーダーではふつうに再生できていますので、BD550ではBDAV形式のディスクへの対応が完全ではないのかもしれません。
もしこの2作品のBD版の初期版(2009年5月まで配布していたもの)をお持ちで、BD550または同メーカーの製品の導入を検討されている方がいらっしゃいましたら、ご注意ください。 これら初期版の再生には、ソニーかパナソニックのBD機器またはPS3をお奨めいたします。
現在のBD版は、「泥んこ体験2007」・「泥んこ体験その4」を含めすべてBDMV形式のため、どれもBD550で再生できます。
上記のことを含め、各機種の再生可否を表でまとめると、以下のようになります。 パナソニックの欄はDMR-BW800(2007年11月発売)、ソニーの欄はBDZ-RX55(2010年3月発売)での結果に拠ります。 同メーカーの他機種でも同じ結果になる可能性が高いと思いますが、全部の機種について保証するものではありません。
BD版の作品名 | 収録形式 | 配布開始時期 | BD550 | PS3 | パナソニック | ソニー |
パイ投げ体験その5 奔放編 | BDMV | 2011年2月(予定) | ○ | ○ | ○ | ○ |
パイ投げ体験その4 平然編 | BDMV | 2010年7月 | ○ | ○ | ○ | ○ |
パイ投げ体験その3 | BDMV | 2009年8月 | ○ | ○ | ○ | ○ |
泥んこ体験その12 猛暑編 | BDMV | 2011年2月(予定) | ○ | ○ | ○ | ○ |
泥んこ体験その11 | BDMV | 2010年7月 | ○ | ○ | ○ | ○ |
泥んこ体験その10 | BDMV | 2009年12月 | ○ | ○ | ○ | ○ |
泥んこ体験その9 | BDMV | 2009年12月 | ○ | ○ | ○ | ○ |
泥んこ体験その8 蔵出し・はしご編 | BDMV | 2009年8月 | ○ | ○ | ○ | ○ |
泥んこ体験その7 | BDMV | 2009年8月 | ○ | ○ | ○ | ○ |
泥んこ体験その5 蔵出し・晩夏編 | BDMV | 2009年4月 | ○ | ○ | ○ | ○ |
泥んこ体験その4 (改訂版) | BDMV | 2009年8月 | ○ | ○ | ○ | ○ |
泥んこ体験2007 (改訂版) | BDMV | 2009年8月 | ○ | ○ | ○ | ○ |
泥んこ体験2006 | BDMV | 2009年8月 | ○ | ○ | ○ | ○ |
泥んこ体験その4 (初期版) ※09年5月に配布終了、改訂版に移行 |
BDAV | 2008年8月 | × | ○ | ○ | ○ |
泥んこ体験2007 (初期版) ※09年5月に配布終了、改訂版に移行 |
BDAV | 2008年4月 | × | ○ | ○ | ○ |
このジャンルの個人制作のBDとして、ココアソフトさんの「GREASE」という作品があります。 こちらも正常に再生できました。BDならではの高画質です。
市販のBDソフトについては再生できて当たり前ながら、ここではちょっと変わり種の3DのBDソフト「アイドリング!!!の3Dングでブルーレイング!!!」を試してみました。 BD550は3Dには対応していないため自動的に2D(通常のハイビジョン画質)での再生になりますが、正常に視聴できました。
もともと「Blu-ray 3D」の規格に沿ったソフトは3D非対応のBDプレイヤーでも再生できるように作られていますので、この点もごく普通の結果と言えます。
パナソニック製のBDレコーダーで地上デジタルの番組を録画したBD(DRモード)はふつうに再生できました。
ソニー製BDレコーダーでスカパー!HDの番組を録画したBDも、短時間再生した範囲では、問題はなさそうです。 スカパー!HDの録画BDは若干特殊な部分があるため再生できない機種も多いらしいのですが、今回のように海外メーカー製のプレイヤーであっさり再生できたのは少し意外でした。
ちなみに、BDレコーダーでテレビ番組を録画したBDはすべてBDAV形式で記録されますので、BD550ではBDAV形式全般がダメというわけではないようです。
デジタルAV機器にはバグが付きもので、このBD550でも、ネット上のユーザーレビューなどで以下のような不具合が指摘されています。
いずれの点も私の視聴環境には該当しないため確認できませんでしたが、もしこの機種を検討されている方がおられましたら、こうした情報にも注意が必要かもしれません。
機器の動作のバグは、ファームウェア(制御ソフト)のアップデートにより改善される場合があります(それだけでは改善できないタイプのバグもあります)。 アップデートの提供方法は様々ですが、今回のBD550の場合は製品サポートページからダウンロードできる他、本体のLAN端子にネット回線を接続すれば、ネット経由でアップデートできます。
今回確認したのは一機種のみですので全般的なことは言えませんが、このBD550については、格安の割には完成度の点でキワモノ感はなく、思った以上に普通に使えた印象です。 少なくとも現在当サイトで扱っているBD版はすべて再生できましたし、それ以外の一般的な用途でも充分通用しそうでした。 ただ、BDAV形式のBDへの対応に一部不完全なところがあったのは残念です。
今回の機種にあと数千円プラスすることでソニーのBDプレイヤーも視野に入ってきますので(価格.com ブルーレイプレーヤー)、予算が許すならば、BD規格推進の主力メーカーの製品という点でそちらのほうが安心感はあるかもしれません。
あるいは、BDプレイヤーはDVDプレイヤーとしても使えます。 今のところメインで見るのはDVDだけど一応BDの再生機器もほしいという場合、今回の機種のような価格帯のBDプレイヤーであれば、ちょっと高機能なDVDプレイヤーとして選択肢になりうるかもしれません。
この機種に限らずAV機器の導入にあたっては、ネットで各所のユーザーレビューを見たり、もし機会があれば家電店の店頭で実機を少し操作してみるなどして、ご自分の用途に合っているかどうか確認することをお奨めします。 いずれにしましても、ようやくBD機器も選択肢の幅が広がり、以前に比べれば多少は手を出しやすい状況になってきていると思います。