Blog > 4K-BSギャラリー (2019年11月16日掲載)

4K-BSギャラリー

2018年12月に始まった4K衛星放送(以下、4K-BSと表記)の試験ギャラリーです。このページはブログ記事の補足です。

解像度・解像感に関しては、動画で見るのと切り取った静止画で見るのとは印象が異なります。動画で見るほうが従来の放送との違いは大きく感じられます。そのため、以下は参考程度にご覧ください。スマホなど小さな画面では地デジの紹介と何ら変わらないかもしれないので、PCなど大きな画面での閲覧をお勧めします。

また、4K-BSの特徴の一つにHDR(ハイ・ダイナミック・レンジ)の導入がありますが(後述)、PCでJPEG画像にするとすべて通常のSDR画像になるため、HDRでの見栄えについてはここでの再現ができず、実際にHDR対応テレビで番組をご覧いただくしかありません。

上記の諸点から中途半端なご紹介とはなりますが、ご参考まで。

NHK・SDR編

NHK BS4Kは、大半の番組が4Kまたは8Kでの収録です。ダイナミックレンジは、比較的、SDRが多く、HDRの番組にはEPGで「HDR」マークがつきます。HDRで収録されている番組のみをHDRで放送しているものと思われます。まずはSDRの番組より。

NHK BS4K「ラグビー・ワールドカップ2019日本対ロシア」、2019年9月20日放送 (SDR)

この距離でも、観客席の方の顔はSD画質時代のクローズアップくらいの情報量があります。

NHK BS4K「にっぽんの芸能」、2019年9月30日放送 (SDR)

舞台中継との相性も良いと思いました。

NHK BS4K「クラシック倶楽部」、2019年9月16日放送 (SDR)

4K放送は顔のクローズアップ自体が少なく、こちらなどはかなり寄っているほうです。

NHK BS4K「見どころ4K」、2019年9月18日放送 (SDR)

番宣番組のため、様々なシーンがありました。1枚目、画角のわりにはディテールが細かくないように見えるのは、フォーカスのせいでしょうか、あるいは何かフィルターがあるでしょうか。

NHK BS4K「世界はTokyoをめざす「ブルガリア新体操と山形ホストタウン」」、2019年10月13日放送 (SDR)

ドキュメンタリーのほうが映像がストレートだと思います。

民放

民放(BS日テレ4K、BS朝日4K、BS-TBS4K、BSテレ東4K、BSフジ4K)は、ごく一部の番組が4K収録で、大半がフルHDからのアップコンバートです。ここで取り上げているのはすべて4K収録番組です。ダイナミックレンジは、全番組がHDRです。アップコンバートの番組もHDRに変換されています。

以下はいずれも色空間の変換とHDR→SDR変換をしていますが、変換時の設定が不完全なせいか、白飛びしている箇所があります。レコーダーからHDR対応のモニタへ再生した際には、画像の白飛び部分の階調も残っていました。

BS日テレ4K「日本に恋したゴッホ~北川景子が歩く天才画家の旅路~」、2019年10月12日放送

単発の特番です。

BS-TBS4K「タビフク+VR#73」、2019年10月23日放送

テレ東のドラマを除くと、民放の4K収録番組で唯一、モデル・女優・インフルエンサーなどの女性タレントが主役としてレギュラーで出演する番組です。

BSテレ東4K「釣りバカ日誌~新入社員浜崎伝助~#1」、2019年10月26日放送

テレ東はドラマが多く、民放の中で唯一、多少なりとも4K収録に前向きな印象を受けます。

NHK・HDR編

続いてNHKのHDR番組より。原因は不明ですが、NHKのHDR番組は、PC上で色空間の変換をすると民放に比べて白飛び箇所が多いため、変換せずそのまま載せました。無変換だと低コントラストにはなりますが、破綻はないのがHLG方式(後述)のメリットでしょうか。

NHK BS4K「JAPAN CUP2019~チアリーディング日本選手権大会~」、2019年10月27日放送 (HDR)

NHK BS4K「シブヤノオト Presents TWICE リクエストLIVE完全版」、2019年10月28日放送 (HDR)

HDRですが、この番組はもともと制作時の色のグレーディングが適切でないように思います。レコーダー+HDR対応モニターで見ると、鮮やかではありますが、NHKの他のHDR番組と比較して色味がやや不自然でした。肌の部分を中間階調ではなくハイライトに近い領域に持ち上げているせいではないかと思いますが、私が仕組みをよく理解していないため、正確なところはわかりません。あるいは、高級なHDRモニターで見ると、違っているのでしょうか。

NHK BS4K「青森ねぶた祭2019」、2019年10月28日放送 (HDR)

これのみ、不完全ながら色の調整をしました。元は8K収録だそうです。

SDRとHDR

4K-BSの特徴の一つがHDR(ハイ・ダイナミック・レンジ)の導入です。これは簡単に言えば同じ画面の最も暗いところと最も明るいところの許容幅を従来のSDR(スタンダード・ダイナミック・レンジ)より大幅に広げる技術で、コントラストの高い場面でも白飛び・黒つぶれの少ない描写を可能にすると言われています。

冒頭の通り、PCのJPEG画像は通常のSDR画像になるため、JPEGでは完全な再現はできません。

なお、HDRに絡んで、4Kテレビユーザーのあいだで「従来の放送に比べて4K放送が暗く見える」と感じる方も出てきているようですが、その原因や解決策は、4K-BS放送が採用するHDRの規格「HLG」の仕様・放送局や制作者が想定する液晶画面の最大輝度・実際に一般消費者が買う4K HDRテレビの最大輝度性能などが絡んで、なかなか複雑なようです(アサヒデンキの記事など)。

HDRの規格には他に「PQ」(正確な規格名称は「HDR10」)もあり、私がレコーダーと接続しているのは、PQには対応しているがHLGには未対応のPC用4Kモニターです。カタログスペックでは最大輝度は300cd/m2に過ぎず、性能的には「なんちゃってHDRモニター」だと思いますが、レコーダーの「HLG→PQ変換」機能により4K-BSをPQでHDR出力すると、特に暗くなることなく映っています。

HLGは輝度を相対値で定義するため、液晶パネルの最大輝度性能が充分でないと中間階調の表示輝度も低くなるのに対し、PQだと輝度が絶対値で定義されているため、中間階調に関しては暗くなるという問題は起きないようです(その代わりにハイライト部分の階調が圧縮されます)。

最大輝度300cd/m2ではHDRの真価は発揮できていないと思いますが、映像の大部分を占める中間階調が暗く映るよりは見やすいと思います。

4K HDR対応のモニターやテレビであればPQにはほとんど対応しているそうですので、レコーダーや外部チューナーを使用していて、HLG出力では暗く感じる場合、HLG・PQ変換機能を使うのも有効な選択肢かと思います。今後の4Kテレビでは、パネルの高輝度性能が充分でないエントリー機種の場合、もしかしたら4K-BSのHLG・PQ変換機能を載せた機種が出てくるかもしれません。

地デジとの比較

解像度

同じ番組を4K-BSと地デジとで比べてみました。ただし色味については4Kのほうは未調整で実際にHDRモニターで視聴するときの色合いとは異なるため、解像度のみの比較としてご覧ください。4Kテレビでの表示を仮定して、地デジのほうを3840x2160に拡大することで大きさを揃えています。

広角の画で情報量の違いを感じやすく、たとえば、地デジでは右端のメンバーの衣装の細い縞を再現できていません。

※画像の縦棒を左右にスライドすると、4K-BS・地デジを比較できます。画像が表示されていない場合はリロードしてください。

地デジ
4K

圧縮ノイズ

地デジと従来のBSでは動画の圧縮コーデックとしてMPEG-2が採用されています。一方、4K-BSでは、より効率の高いH.265(またはHEVCとも)が採用されています。

被写体の動きの激しいシーンや画面全体に渡って情報量が多いシーンなどは、地デジではブロックノイズ(格子状・モザイク状のノイズ)が出やすく苦手とされています。

歌番組で電飾を背景に出演者がダンスするシーンは地デジにとって最も苦手なものの一つです。以下のような場面は、地デジでは盛大にブロックノイズが出ています。4K-BSでは巧みにノイズが抑え込まれています。4K-BSでも2枚目画面左側のメンバーの腕などにブロックノイズが出ていますが、全体的には地デジよりマシです。(※ここでは4K-BSのほうを1920x1080にリサイズすることで大きさを揃えました。画像が表示されていない場合はリロードしてください。)

地デジ
4K
地デジ
4K

参考 地デジと4K-BSのフォーマット比較

比較項目地デジ4K-BS
解像度1440x1080
(一部放送局は1920x1080)
3840x2160
フレームレート・走査方式60i
インターレース
60P
プログレッシブ
色深度YUV 8bit 4:2:0YUV 10bit 4:2:0
ダイナミックレンジSDRSDR、HDR
色空間BT.709BT.2020、BT.2100 HLG
動画コーデックMPEG-2H.265 (HEVC)
音声コーデックMPEG-2 AAC
2ch/5.1ch
MPEG-4 AAC、MPEG-4 ALS
2ch/5.1ch/7.1ch/22.2ch
ビットレート約13~14Mbps約26~28Mbps
放送開始年2003年12月2018年12月
動画コーデックの規格策定年1995年2013年

上記一覧のとおり、地デジと4K-BSは、ベースバンド信号(圧縮前の信号)を比較すると、解像度で5.5倍、インターレース→プログレッシブで2倍、色深度で1.25倍、合計約14倍データが増加していますが、ビットレートの増加は2倍程度に過ぎません。

それでいてブロックノイズは減少していますので、HEVCの圧縮効率(あるいはノイズを目立たなくする技術)がMPEG-2より大幅に高いことがわかります。

走査方式からはついにインターレース(飛び越し走査)が消えました。これも大きな変化です。モノクロテレビ放送の開始から地デジまで50年以上にわたり、受像機器として一貫してブラウン管テレビが前提とされ、それゆえのインターレースの採用でしたが、4K-BSではようやくそれが液晶テレビ・有機ELテレビなどの固定画素デバイスになりました。とは言え、地デジも従来のBSも当面現役ですので、規格の上ではインターレースとはまだしばらくのお付き合いとなります。

各局の4K化の傾向

ブログ記事とこのページでも書いたように、NHK以外は4K収録番組はまだまだ少数です。

唯一、BSテレ東4Kは4K収録のドラマを多数制作・放送しており、民放の中ではもっとも4K番組が充実しています。地上波の「おはスタ」・「青春高校3年C組」も、今後4K収録になる予定だそうです(AV Watchの記事)。

一方で、BS日テレ4K・BSフジ4Kは、4K収録のレギュラー番組が一つしかなく、いずれも「中高年の男性評論家が集まって時事評論する番組」という状況です(BS日テレ「深層NEWS」、フジ「BSフジLIVE プライムニュース」)。

BS-TBS4Kは「報道1930」、「サンデーニュースBizスクエア」、「吉田類の酒場放浪記」、「タビフク+VR」、「至福の京都ふらり散歩」というラインナップです。

BS朝日4Kは、「土井善晴の美食探訪」、「日本の名曲 世界の名曲 人生、歌がある」、「子どもたちに残したい 美しい日本のうた」です。

この他、ときどき単発の特番で4K収録のものが放送されますが、上記の民放のラインナップで、多くの視聴者に対して4K-BS導入の訴求力があるかといえば、きわめて厳しいものがあると思います。今のところ、4K-BSの魅力はほぼNHK頼みという状況です。

地上波の番組の4K収録化が進み、それらが4K-BSでも放送されるようになれば多少は状況が違ってくると思います。ただ、番組制作のフルHD化が進んだときには、地上波のデジタル化・フルHD化という強力な要因がありましたが、地デジのフォーマット変更は当面ないため、4K化に関してはそういった急速な変化は期待できないかもしれません。

そして配信との競合

基幹放送は一度プラットフォームを決めて開始するととその後20年は「規格」に縛られますし、その他にも様々な要因から新しい技術への対応に後ろ向きになりがちです。デジタル化により技術革新の速度は加速しているため、現時点の最新世代の規格を集めて起ち上げた4K-BSも、10年後には今の地デジのような枯れた規格の塊になっていることでしょう。

近年急速に普及しつつあるネット動画配信サービス(ビデオンデマンド、VOD)は、そういった制約なく、最先端のデバイスから少し古い世代の機器までを同時にカバーしつつ、柔軟に新しい技術やサービスを取り入れることができます。たとえばNetflixは既に数年前から4K解像度以上でしかオリジナルコンテンツを制作しないことを明確に決めていて(Netflixの説明)、4K HDRコンテンツの充実度で言えば、日本の民放の比ではありません。VODでは4K・HD・SDを視聴者の機器に応じて同時に配信できるため、古い機器の使用者を切り捨てることなく、そうしたことが可能です。

常時20~30Mbps程度のデータを受信端末に確実に送り届ける安定度で言えば今はまだ放送波のほうが有利かもしれませんが、次世代5G回線網が全国津々浦々に行き渡れば、その利点すらも危うくなります。

私自身は、好きなときに見られるが配信側の都合でコンテンツの配信をストップできるVODよりも、「録画」ができてずっと手元に置いておける放送波のほうに馴染みがあります。そのため放送波にはまだ頑張ってもらいたいと思いますが、さらなる高解像度やHDR、その他新たな技術に基づくコンテンツに関しては、放送波に期待するのは今後ますます難しくなっていくのかもしれません。

情報をお待ちしています

と、いろいろ書きましたが、プロによってある程度の予算規模で作られた4K番組を無料で(NHKは有料ですが)視聴者に届けるプラットフォームは、今のところ4K-BSしかありません。

チェック対象が事実上NHKだけと言っても、それすらも全部はチェックしきれません。民放の単発の特番にも、何かあるかもしれません。

4K-BSでこんなシーンがあるという情報にお気づきの際には、是非お知らせいただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。

「紅白歌合戦」を地上波とBS4Kで見比べてみる (2020年1月3日追記)

2019年12月31日の「第70回NHK紅白歌合戦」は、地上波だけでなくNHK BS4K・BS8Kでも同時中継されました。地上波とBS4Kを録画して一部を見比べてみた、その簡易リポートです。ラグビー中継のように映像は共通で単に解像度が違うだけなら両者の比較がしやすいかなと思っていたら、もっと複雑だったというお話です。

HDRでの放送ですが、例によってJPEGではHDRの再現ができずSDRになるため、色味については参考程度にご覧ください。4Kテレビで番組視聴したときはもっとハイコントラストで鮮やかです。なお、22.2chサラウンド音声に関してはまともな再生環境がないため、音声についてはここでは未評価です。

同一映像によるサイマル放送ではない

3波同時中継ということで、視聴前は8K出力をマスターとする完全なサイマル放送かと思っていたのですが、実際にはそんな単純なものではなく、地上波とBSでは全般的にカメラとスイッチングが違っていて別映像のところが多々ありました。一部で地上波・BS共通のシーンがありましたが、たぶん別映像のところのほうが多いと思います。BS8Kのほうは未確認ですが、NHKホームページの番組告知の文章からすると、8Kと4Kは完全にサイマル放送のようです。

比較1 地上波とBSで同一の場面

共通の映像を使っているところでは、地上波とBSの情報量の違いがよくわかります。BS4Kでは、かなり背後で映っている出演者の表情や、背景のセットの細部まで見えてしまうため、出演者も制作者も従来より気が抜けないと思います。BS8Kではなおさらかと思います。ブラウザでは横幅が画面に合わせて縮小されて表示されますが、等倍でご覧になりたい場合はダウンロードしてご覧ください。

【1枚目】地上波、Foorinの歌唱シーン。クレーンカメラからの映像だと思います。
【2枚目】そのときのBS4Kの映像。
【3枚目】地上波、郷ひろみの会場外の歌唱シーン。このあと会場に入るまでワンカットでスイッチがありません。
【4枚目】そのときのBS4Kの映像。
【5枚目】地上波、チコちゃん。
【6枚目】そのときのBS4Kの映像。

以下はご参考まで、両者を重ねて比較しています。

地デジ
4K

比較2 同じような画角だが違うカメラの場面

同じような画角の場面でも、よく見ると地上波とBSでカメラが違っている部分が多々ありました。おそらく基本的に地上波用とBS用はカメラが別で、共通部分のほうが例外なのでしょう。

【1枚目】地上波、AKB48のインタビューシーン。
【2枚目】そのときのBS4Kの映像。地上波とは違うカメラです。
【3枚目】地上波、TWICEの歌い出し。
【4枚目】そのときのBS4Kの映像。地上波よりやや広角です。

比較3 画角・アングルが大きく違っている場面

両者の違いの大まかな傾向としては、地上波のほうがクローズアップが多く、BSのほうが広角が多くなっています。BSでは単なるステージの広角映像にとどまらず会場全体を俯瞰するカメラからの映像が随所で挿入され、地上波には映らない、次の歌手の歌唱中にステージ脇をはけていく出番終わりの歌手や、地上波用のクローズアップ映像を撮りながらステージを横切っていくステディカムやポータブルカメラのカメラマンなども見られました。

このような構成は意図的なものだそうで、2018年の中継に関する記事になりますが、「NHKホールで観ているような紅白」をテーマに、地上波では見られない舞台転換シーンも見られるようにしたそうです(AV WatchPhile Webの記事)。ただ、スタッフやカメラマンの映り込みなどは「Business Journal」の記事では揶揄的に取り上げられており、狙いが当たったかどうかは微妙かもしれません。私も、放送後に上記のNHK側の記事を検索で見つけるまでは、そういう意図だったとはわかりませんでした。

【1枚目】BS4K、山内惠介の歌い出し。左側に出番終わりのAKB48がはけていくところが映っています。ステージ中央ではステディカムが山内惠介を撮っていて、地上波ではその映像です。
【2枚目】地上波の映像。乃木坂46の歌唱前です。綾瀬はるかはどこに向かって喋っているの?と思ったら…
【3枚目】そのときのBS4Kの映像。綾瀬はるかやメンバーの多くは真正面のBS用のカメラを見ていました。このように一部にはBS用が主となっているシーンもありました。
【4枚目】このあと、会話中にBS4Kでは俯瞰映像へ謎のスイッチ。ピカチュウがはけていく様子や、右手のモニターの進行の台本?が映っています。
【5枚目】地上波の映像。乃木坂46の歌い出しは白石麻衣のクローズアップです。
【6枚目】そのときのBS4Kの映像。引きすぎに感じます。このとき地上波の映像はステージ前の中央のカメラから出ていると思います。
【7枚目】地上波の映像。歌い出しから少し後です。
【8枚目】そのときのBS4Kの映像。地上波よりだいぶ広角です。

BS4Kで2K映像?

ごく一部、BSに2Kの映像(地上波画質の映像)が流れてしまう場面がありました。広角の場面で2K映像が混じると、特に近接視聴をしている場合、その部分だけ解像感がガクッと下がるのでわりと目立ちます。おそらく何らかのミスだと思いますが、会場では相当複雑なカメラ構成・機材構成でオペレーションをしているのではないかと思います。

【1枚目】BS4Kで流れた2K映像。
【2枚目】いったん他のカメラにスイッチしてその少し後、先ほどと同じような画角で本来の4K解像度の映像。

推測される中継体制

こういった収録現場の詳しい仕組みは知りませんし、一部の演目でしか見比べをしていないので不正確かもしれませんが、ここまで見てきて、おそらく以下のような運用でしょうか。

地上波をBSからのダウンコンバートにしない理由?

地上波を8Kからのダウンコンバートにすれば完全なサイマル放送ができますし、実際BSと地上波で同じ部分もありました。技術的には可能なはずの完全なサイマル放送をしない理由は、素人の推測になりますが、以下のようなものが考えられます。

1番目については、地上波でポータブルカメラの映像が流れているときBSはほぼ俯瞰または別アングルだったため、もしかしたらそのような事情があるのかもしれないと思いました。

2番目については、現状、地デジだと20インチくらいの小型テレビの視聴環境もかなり多いと思いますが、4Kテレビだとほぼ40インチ以上、8Kは60インチ以上かと思います。BSの広角主体のカメラワークをそのまま地上波に流すと過去の撮り方に比べて地味になりますし、地上波のクローズアップ多用のカメラワークをBSでやると、それはそれで違和感が出るのかもしれません。ただし、2Kの地デジ時代になってから、NTSCのアナログ時代に比べて極端なクローズアップは減っていると思いますので、本気で共通化を検討すれば、適当なバランスで実現可能かと思います。

3番目については、今回、BS4Kでは歌詞の字幕が流れていませんでした。しかし映像は共通・字幕の有無のみ異なるというのも可能だと思いますので、これだけでは理由にならないと思います。

こちらのブログ記事に、2018年の第69回NHK紅白歌合戦8Kスーパーハイビジョンのパブリックビューイングに参加された方のリポートが掲載されていますが、パブリックビューイングの会場にいた複数のNHKスタッフに中継に使われているカメラの構成について尋ねてみると、すべて8K対応で地上波・4K用にダウンコンバート可能という回答と、8Kはほとんどが地上波用とは別の独自カメラだという、正反対の2種類の回答があったそうです。収録会場のほうの現場スタッフでなければ、正確な部分はわからないのかもしれません。

紙吹雪はBS4Kでも厳しい

地デジ時代になってから、紅白の中継でカメラいっぱいに紙吹雪が舞うと盛大にブロックノイズが発生するのが定番でしたが、BS4Kでもそれは同様でした。

以前の更新で書いたとおり、ブロックノイズ耐性については基本的には地デジより改善されていて、多くの場面でかなり目立たないようになっていますが、それでも許容範囲を超えた映像については厳しいようです。

このように4K-BSのHEVC・26Mbpsでも盛大にモザイク状になってます。こういう場面でもブロックノイズを抑えるには、かなりビットレートを上げるか、All-Intraコーデックにでもしない限りは難しいと思いますので、今の放送波では無理そうです。

大半の場面では綺麗

とは言え、もちろん地上波と比べれば大半の場面でBS4Kのほうが綺麗です。紙吹雪画像で終わってネガキャンなイメージになってもいけないので、最後にクリアな歌唱シーンも置いておきます。

追記 さらに他のステージでも見比べてみる (2020年1月4日追記)

日向坂46のステージも見比べてみました。このステージのBSの中継はカメラマンの映り込みが多く、ある意味、見比べ甲斐?がありました。基本的にはここまで見てきた違いの再確認になりましたが、ご参考まで。ここはすべて時系列です。

【1枚目】歌い出し、地上波。このあとカメラの視点が上がっていくので、クレーンからの映像とわかります。
【2枚目】そのときのBS4K。共通の映像でした。地上波より情報量が格段に多いです。クレーンは原則共通なのでしょうか。

【1~3枚目】BS4Kの映像。他のアーティストも含め、BSではこれくらい~もう少し引いた画角がメインでした。

【1枚目】BS4Kの映像。ステディカムで地上用の映像を撮りながら前を横切っていくカメラマン。
【2枚目】そのときの地上波の映像。

【1枚目】BS4Kの映像。BSではこれでかなり寄っているほうです。
【2枚目】そのときの地上波。似た画角ですが、地上波のほうがさらに寄っていて、背景からも違うカメラとわかります。

【1枚目】BS4K、俯瞰カメラの映像。ステージ上には3台のカメラが見えます。これだけBSに映り込むということは、これらのカメラは地上波専用かと思っていたら…
【2~4枚目】その少し後のBS4Kの映像。アングル・カメラワークからステージ上のカメラの映像とわかります。画質も4Kです(BS8Kのサイマルなので元は8K出力?)。
【5枚目】そのときの地上波の映像。BSと共通ではありませんでした。右端にBSの映像を撮っているカメラマンが見切れています。

【1~2枚目】BS4Kの映像。カメラマンが、撮影ではなく袖にはけていくために前を横切っています。これだと他のどのカメラから撮っても映り込んでしまいますが…。
【3枚目】そのときの地上波の映像。MC陣を抜くのには理由があったんだな、とわかります。
【4枚目】少しあとの地上波の映像。ここまでのクローズアップはBSには皆無です。

【1~2枚目】BS4Kの映像。歌い終わりへ。最後は余白が多く、引きすぎでしょうか。
【3枚目】地上波の歌い終わり。こちらの画角のほうが自然に見えます。もしかしたら60インチくらいで見ると圧迫感があるのかもしれませんが…。

追加は以上です。一部のステージではなく、番組全編で見比べればもっと中継の仕組みがわかるのかもしれませんが、そこまでの根気はありません。BS・地上波両方録画されていて、舞台裏的なことに興味がある方は、見比べてみると面白いと思います。

Twitterの検索で紅白中継の4K版をご覧になった方の感想を見ていると、カメラワークに違和感や不満を感じている方がわりとおられました。たしかに、細部まで綺麗ではあるのですが、歌い出し・歌い終わりなど肝心な部分でちょっと引きすぎで迫力に欠けるかなと思える場面もあり、そうした感想が出てくるのもわかる気がします。完全なサイマル放送で画質が違うだけなら4Kテレビ所有者はBS4Kで見ると思いますが、このように上位互換ではない形でカメラワークが違うと、BS4Kも見られるけどやっぱり地上波で見ようという方もおられそうです。今回のBS版の中継は基本的に2018年のBS中継のフォーマットを踏襲したものだったようですが、今後、どうなっていくでしょうか。