Top > Works > 動画のビットレートを計算してみる (2022年6月18日Twitterから先行掲載、2023年1月30日更新)

動画のビットレートを計算してみる

動画を編集して書き出すときに、一定容量以下に収めたい場合があります。動画の容量はビットレート(1秒あたりの容量)と総時間によって決まります。編集したら120分の動画が仕上がったけど、これを3GB以下に収めるにはビットレートをどれくらいに設定したらいいの?などの計算をしたい場合にどうぞ。

以下のフォームに数値を入れて「計算」ボタンを押すと、計算結果が表示されます。(半角でご入力ください。小数点以下も入力できます。)

編集したら○○分になった!▲▲GB以下に収めるには、ビットレートの設定をどうすればいい? 動画の時間・動画の容量から、ビットレートを計算

動画の時間(分):
動画の容量(GB):


ビットレート:

編集したら○○分になった!ビットレート▲▲Mbpsでエンコードしたら何GBになる? 動画の時間・ビットレートから、動画の容量を計算

動画の時間(分):
ビットレート(Mbps):


動画の容量:

画質的にこのビットレートは譲れない!でも▲▲GB以下に収めないといけない…その場合に動画は何分までOK? 動画の容量とビットレートから動画の時間を計算

動画の容量(GB):
ビットレート(Mbps):


動画の時間:

編集ソフトによっては上記の計算結果とは誤差がある場合がありますので、ご注意ください。

動画エンコードとビットレートのQ&A

Q、動画のエンコード形式はH.264(AVC)とH.265(HEVC)のどちらを選べばいいですか?

A、投稿した動画がサーバでエンコードされずにそのままユーザーにダウンロードされるプラットフォームの場合(ファンティアなど)はH.264を選ぶのが無難で、投稿した動画がいったんサーバでエンコードされる場合(YouTubeやXCREAMなど)の場合は、どちらでも大丈夫です。同じビットレートであれば新しく登場したH.265のほうが高画質とされていますので、自分用やマスターの動画ファイルとして書き出すにはH.265のほうがお勧めです。ただし、Twitterも投稿後にサーバ側でエンコードされますが、H.264の動画しか受け付けません。(【2023年1月30日追記】その後、TwitterもHEVC動画のアップロードに対応しました。) どんなプラットフォームでも共通して使いたい場合は、H.264で書き出すのが確実です。

H.264とH.265の微妙な画質差が気になる方は、「H.265(HEVC)を試してみる」の「キャプチャ画像での比較」の欄をご参照ください。ただし、リンク先のページはかなり低いビットレートで比較した場合のことで、十分に高いビットレートの場合は、両者に極端な差はありません。

Q、MP4とMOVはどちらを選べばいいですか?

A、正確な喩えではないですが、H.265やH.264が料理の調理法(和食か洋食か)だとすれば、MP4かMOVはお皿の種類(平皿かどんぶりか)に相当します。どちらを選んでも味(画質)には影響はないですが、配布用・販売用にはMP4を使うのが一般的です。自分用ならどちらでも大丈夫ですが、WindowsやAndroid環境がメインならMP4が無難だと思います。

Q、H.264の場合、適切なビットレートはどれくらいですか?

A、必要なビットレートは、動画の中身(被写体の動きが激しいかどうか)に大きく左右されますが、H.264でエンコードするなら、フルHDは4~8Mbps程度4Kは12~24Mbps程度で配布用・販売用としては十分な画質を確保できるのではないかと思います。オリジナルの動画ファイルの画質と比べると違いがあるかもしれませんが、配布用・販売用はユーザーの方のダウンロードやストリーミングでのデータ消費量を考慮するとある程度ファイルサイズを抑える必要があるため、仕方ないと思います。

ただし上記はかなり大雑把な目安に過ぎず、もし画質を確保できるぎりぎりまでビットレートを下げたいなら、動画ごとに最適な設定を探るしかありません。一般に、被写体の動きが大きい動画(たとえば格闘技の動画)、細かい模様がランダムに動くような動画(さざ波のたつ水面や風にそよぐ森林の動画)を、なるべくブロックノイズ(モザイク状のノイズ)が出ないようにエンコードしようと思うと、より多くのビットレートが必要になります。被写体が一人であまり動かない動画なら4Mbpsでも綺麗かもしれませんが、被写体が複数いて水しぶきを飛ばしながら動き回っているような動画だと、8Mbpsでもブロックノイズが目立つかもしれません。さらに、どれくらいのクオリティならば許容されるかは状況によって様々ですので、共通する正解はないと思います。

H.264・H.265いずれも細かな設定パラメータがあり、ビットレートだけでなくそれらの設定値によっても画質が変わります。短文では説明しきれませんので、下記のVBR・CBR、1パス・2パスを除いてここでは取り上げません。

YouTubeやXCREAMの場合はサーバで再度エンコードされて最適な設定で書き出されるため、それらへのアップロード用の動画は細かいことは気にせずになるべく高いビットレートで書き出しておけば大丈夫です。

ご参考まで、YouTubeでは1080PのH.264の動画は2~3Mbpps程度にエンコードされているようです。ただし、最近のYouTubeは「VP9」「AV1」などの新しい高効率の圧縮形式が追加されていて、AndroidやChromeブラウザではVP9でエンコードされたものが優先的に表示されます。1080PはH.264とVP9の2種類でエンコードされ、VP9のほうはさらにビットレートが低く、1.7~2Mbps程度のようです。

Q、VBR、CBRとは何ですか?

A、エンコードのときにVBR・CBRを選択できる場合は、VBRを選んでおけば大丈夫です。VBRは可変ビットレート、CBRは固定ビットレートを意味します。VBRは、動きが大きいシーンには高いビットレートを、動きが少ないシーンには低いビットレートを割り当て、効率的な配分をします。可変ビットレートの場合、ビットレートは動画全体の平均値です。固定ビットレートは、どのようなシーンでも同じビットレートを割り当てます。

Q、1パス、2パスとは何ですか?

A、エンコードのときに「1パス」「2パス」など、「パス回数」を選べる場合があります。エンコードを短時間で済ませたいなら1パスを、時間がかかってもいいので僅かでも高画質にしたい場合は2パスを選びます。なるべく低いビットレートでなるべく高画質を実現したいという場合以外は、1パスで十分だと思います。

VBRでエンコードするときに2パスを選ぶと、より効率的なビットレート配分をするために、いったん動画の終わりまで分析して動画全体に対してきめ細かくビットレート配分を決定し(パス1回目)、それから本当のエンコードを実行します(パス2回目)。1パスの場合は動画全体までは読み込まず、もっと短い単位でビットレート配分とエンコードを同時実行します。2パスは1パスの倍のエンコード時間がかかります。正確な喩えではないですが、今日1日で使ってもいいお金を計算するときに、1年間の予定を全部精査してから決めるのが2パスで、明後日くらいまでの予定だけを見て決めるのが1パスです。

Q、ソフトウェアエンコード、ハードウェアエンコードとは何ですか?

A、動画編集ソフトでこれらの言葉が直接に出てくることは少ないと思いますが、エンコードについて検索していると、「ソフトウェアエンコード」や「ハードウェアエンコード」といった表現をよく見かけます。

H.264やH.265のエンコードはとても計算が複雑で、パラメータ設定にもよりますが、従来、パソコンでエンコードするときにとても時間がかかっていました。しかし、最近のCPUやグラフィックボードは、メインの計算装置とは別に動画エンコード専用の回路(ハードウェアエンコーダーやエンコード支援機能と呼ばれます)を持っていて、それらのハードウェアエンコーダーを利用すると、比較的短時間でH.264やH.265のエンコードが可能になります。インテルCPUに内蔵された「QSV」、NVIDIAのグラフィックボードに内蔵された「NVENC」などが代表的で、それらを使ってエンコードするのを「ハードウェアエンコード」と呼びます。一方、QSVやNVENCを使わずに、エンコード用プログラムソフトウェアとCPUのメインの計算装置だけでエンコードすることを「ソフトウェアエンコード」と呼ぶことが多いようです。

ハードウェアエンコードの場合、ソフトウェアエンコードほど細かいパラメータ設定ができないというデメリットもありますが、エンコード時間が短縮できるメリットはかなり大きいと思います。なるべく低いビットレートでなるべく高画質を実現したい場合には、ソフトウェアエンコードで細かいパラメータ設定を追い込む必要がありますが、そういった場合以外は、ハードウェアエンコードで十分だと思います。

ソフトウェアエンコードの場合、代表的なエンコーダープログラムとしてH.264用の「x264」、H.265用の「x265」があります。x264やx265は車で言えばエンジンのようなもので、使うためには別途車体に相当するGUIソフトウェアが必要です。

Q、動画ソフトで書き出しのときにビットレートの設定項目がありません

A、H.264やH.265のエンコーダーの多くは、ビットレートではない形で動画の画質を指定するモードが備わっています。そのモードを前提にしている動画ソフトの場合には、ビットレートの設定項目が出てこないかもしれません。「エンコーダーが動画の中身に応じて自動的に無駄のないビットレートを決める」「ユーザーはビットレートを意識する必要はない」という考え方のモードです。元の動画にどれくらい忠実に書き出すかという意味での画質指定をすれば、あとは勝手にエンコーダー側が差配して、動きが激しい動画であれば高いビットレートで、少なければ低いビットレートで、無駄なくエンコードしてくれます。ビットレート設定で「自動」を選べる場合も、同様の動作になります。しかし、動画の容量に制限があるプラットフォームに投稿する場合などは、ビットレート指定で書き出すほうが便利です。動画ソフトの設定を変えることでビットレートの選択肢が出てくるかもしれませんが、そうでない場合は画質指定しながら試行錯誤するしかありません。